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ACLで軒並み敗戦が続くJリーグ勢。
水原vs.浦和で見えた南アW杯後遺症。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byAFLO
posted2015/02/26 12:15
先制しながらも逆転負けを喫した浦和。ペトロヴィッチ監督も「後半に水原が攻撃的な姿勢を見せ、不運な失点をしてしまった」とコメントしている。
水原は、昨年末からACLの勝利に執念を燃やしていた!
さらに水原は今年、リーグ開幕より10日早いACL開幕日のために相当綿密な準備をしていたという。試合後、水原のクラブ関係者がこんな話をしていた。
「始動日の前、年末に合同自主トレを行なった時期があったんです。選手が自主的にクラブハウスに集まってトレーニングを行なったんです。監督から選手全員に対して『年始からペースアップするから体を仕上げておいてくれ』というリクエストがあったためです。ソ・ジョンウォン監督は就任1年目の2013年にACLでグループリーグ敗退を喫し、相当悔しそうな様子を見せていた。それもあって、今年はACLに向けて執念を燃やしていたはずです」
いっぽう浦和のほうはペトロヴィッチ監督が今年のキャンプの終盤に「あと1週間あればもっといいコンビネーションができたはず。時間が足りなかった」という主旨の発言をしていた。
では、なぜ同じ春秋シーズンを消化する日韓で始動時期の差が出るのか。そこにはいかんともしがたい両リーグの構造の違い、そして社会文化が影響している。
JリーグとKリーグの優勝賞金の違いが、ACLの成績に反映。
まずは国内での試合消化数が違う。J1リーグ18チームに対し、Kリーグクラシック(1部)は12チーム。カップ戦は日本が年間2大会を戦うのに対し、韓国は1大会のみだ。するとシーズン後半の疲労を意識しすぎることなく、「序盤勝負」に打って出ることが出来る。
さらに両国リーグの優勝賞金の差が、「ACLにチームをどれほど注力させられるか」という点で大きな影響を及ぼしている。
ACLの優勝賞金は合計約1億9000万円。クラブワールドカップの出場ギャランティーは最低でも約5000万円。合わせると2億5000万円近くを手に出来る。
一方でJリーグ優勝賞金は最大2.8億円で、Kリーグは約5000万円。つまり、国内リーグの優勝賞金が低い韓国は、「ならばより賞金の多い大会に力を注ぐ」という発想になりやすいのだ。
さらにもうひとつ。「正月」の違いもある。
日本は新暦の1月1日前後にしっかりと休むが、韓国は旧暦に休みを取る。例年1月下旬から2月下旬にかけてが、その時期にあたる。
「韓国チームは年末にガンガン自主トレをしているが、一体いつ休むのか?」と思いきや、キャンプ期間中に4日前後しっかり休んでいるのだ。それも日本のキャンプ中の「オフ」と違い、明確にチームを一度解散させ、その上で休息を取る。
儒教思想が日本よりも強く残るため、選手たちは当然のごとく実家に顔を出して親孝行をする。逆に韓国では新暦の1月は、元日に休む程度。
この文化の違いが、年間のチーム作りにも少からず影響を与えているのだ。