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石川、大瀬良、森、松井……。
'13年ドラフト1位選手の○と×。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

PROFILE

photograph byHideki Sugiyama

posted2014/12/31 11:00

石川、大瀬良、森、松井……。'13年ドラフト1位選手の○と×。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

広島の先発ローテーションを守り、CS進出に大きく貢献した大瀬良大地。187cmの恵まれた体格をフルに生かしたスリークオーターの迫力は圧巻。

松井の成長、小林のクレバーさ、渡辺の将来性。

 前評判ばかりが先行してしまったがために、なかなか高評価を得られなかった楽天の松井裕樹も、高卒ルーキーながらプロに順応できたひとりだった。

 シーズン開幕直後から制球難に苦しみ二軍落ちを経験したものの、一軍復帰後の夏場以降は安定した。

 その要因を松井は、「いろんな場面で投げることができたから」だと言っている。

 緊迫した試合展開やピンチの場面で中継ぎとして登板させる。そのような実戦的な育成が松井にフィット。7月後半から先発に戻り、ゲーム終盤まで最少失点に抑えるなど好投が目立つようになった。4勝8敗と負け越しはしたが、高卒1年目の成績としては十分な評価に値する。

 野手で光ったのは、巨人の小林誠司のクレバーさだ。

「ゲームの流れをもっと見ないといけない。出るたびに反省するところがありますね」

 内角一辺倒の配球になったり連打を浴びたりすれば、それを教訓として次に活かす。その一方で、足が速い選手が一塁走者にいる場面では、盗塁よりも一、二塁間をゴロで抜かれて一、三塁とピンチを広げられないリードを試みるなど、的確な状況判断も際立った。小林はマスクを被るたびに成長を見せていた。

 順応とは、経験があってこそ身につく要素だ。そういう意味では日本ハムの高卒ルーキー・渡邉諒も実りある1年を過ごしたと言える。

 一軍ではわずか1安打に終わったものの、来年以降、自分のスタイルを構築できればヤクルトの山田哲人のように早い時期からブレークする可能性だって十分にある。

「×」の選手は、プロに順応できなかったという評価。

 つまり、「×」に選んだ選手たちの1年目はプロの野球に順応できなかったという評価だと言わざるを得ない。

 ドラフト時や今年の春季キャンプの段階で、「新人王最有力候補」と太鼓判を押されていたオリックスの吉田一将がその代表だろう。

 JR東日本時代は、チームを都市対抗で準優勝に導くなど社会人屈指の投手と呼ばれていたが、1年目は5勝6敗と精彩を欠いた。

 ストレートにキレがあり、変化球の精度も高い。それでも勝てなかったのは、「投げ急いだ」からだ。

 ピンチを作る、カウントを悪くする。そんな窮地に陥ると、決まってストライクを取りにいき痛打を浴びる。今季75回2/3を投げ24与四球、防御率3.81は悪い数字ではない。にも関わらず投球にいいイメージがもたれないのは、投げ急いだことで序盤に大量失点を許す試合が多かったからだ。

【次ページ】 コンディショニングを含めての「即戦力」。

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