コンディショニングを含めての「即戦力」。

　吉田は実戦的な欠点だったが、全体を見渡すと際立っているのが故障者の多さだ。

　ソフトバンクの加治屋蓮は入団前に右足の甲を、開幕後に右肩痛を訴えたため一軍登板はなかった。

　阪神の岩貞祐太はキャンプ中に左ひじを故障。ヤクルトの杉浦稔大にいたっては開幕前に右ひじの靭帯を断裂し、1年の大半を棒に振ってしまった。

　プロでの調整法が分からない1年目の選手は、自主トレやキャンプで急ピッチに体を仕上げてしまう傾向があるため、それが結果的に怪我の原因となってしまうのだろう。しかしいくら1年目でも、コンディショニングを含めての即戦力だとチームから期待されていることも忘れてはいけない。

「チームに申し訳ない」

　吉田は試合で打たれると、決まって忸怩たる思いを口にしてきた。きっと、結果を出せなかったドラフト1位全員がそんな悔しさをにじませているはずだ。

　苦い経験はした。だがむしろ、1年目で失敗したからこそ課題が浮き彫りとなり、その分、飛躍のきっかけも掴みやすいというもの。

　結果が得られた選手はさらなるステップアップを、不甲斐ないシーズンを送った選手は汚名返上を期す。

　ドラフト1位たちの成功への道のりは、まだまだ長く、険しいのだ。