MLB東奔西走BACK NUMBER
14年連続200イニング登板の偉業。
マーク・バーリーの静かな大記録。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2014/10/05 10:40
ブルージェイズのマーク・バーリー投手。今シーズンの成績は13勝10敗0S、202イニングを投げ、防御率3.39。2001年の投球イニング数は221回1/3。以来14年間200イニング以上を達成してきた。
200イニング達成者は、先発の中でも2割ほど。
5投手による先発ローテーション、1試合当たりの投球数が90~120球という現行システムにおいて、年間200イニングというのは、間違いなく先発投手の勲章になっている。
実際のところ、今シーズンは両リーグを通じて200イニング達成者が34人しかいない。
30チームが5人の先発投手で回すという単純計算でも(実際は故障者などの影響で先発投手の実数はかなり多い)、200イニング達成率は23%(34人/150人)でしかない。
200イニング達成者の登板試合数はまちまちだが、大体29~34試合となっている。
5人でローテーションを完璧に守った場合、1番手、2番手のエース級の投手が33試合、3番手以降は32試合という計算になる。
移動日等の試合がない日に4番手、5番手投手の登板をとばし、中4日で1番手、2番手投手を起用するチームも多く、35試合近く登板している投手はすべてエース級投手だと考えていい。
そんな投手でも、200イニングを達成するには、全試合平均で最低6イニングは投げないといけない計算になる。
そしてシーズンの好不調がある中でも、先発投手は常にクオリティ・スタート(6イニング以上、3失点以下)を求められる。
バーリーはシーズン開幕から先発入りした2001年から、このプレッシャーと戦い続けてきたのだ。
300イニング投手が存在した時代とは価値が異なる。
一方サットン、ペリーが活躍した1960、70年代は、先発ローテーションを4投手で回すのが一般的で、エース級投手になると先発完投を求められ、時には40試合前後に出場し、300イニングを投げるのが当たり前だった。
実際、2投手が記録した連続200イニングの最終年である1980年でさえも、200イニング達成者はスティーブン・カールトン投手の304イニングを筆頭に56人存在する。
当時は全26チームしかなかったので、達成率も43%(56人/130人)という高さになる。つまり当時の200イニングは、現在の価値でいえば180イニング程度だということになる。