パワー投手全盛の今、技巧派が生き残る困難さ。

　ダルビッシュ投手が疑問を投げかけたように、現行の先発システムは故障の原因となりうるものだ。

　その中で大きな故障もせず、14年間ローテーションを守って30～35試合を投げ、200イニングを達成しつづけてきたのだから、バーリーの記録がどれほど“超人”じみているかは容易に想像できるだろう。

「どうしてこれだけ長い期間、200イニング投げられているのか、自分ではきちんと説明できない。この年齢（35歳）になっても90マイル以上の球を投げられることもそうだが、とにかく幸運だったとしかいいようがない。

　シーズン中も、何か特別なことをやっているわけではない。腕の状態をしっかり管理して健康を維持することを心がけているだけだ」

　本人の説明通り、何か秘策があって今回の記録を達成できたわけではない。確かにバーリーは150km台後半を投げるような投手ではなく、技巧派投手であり、パワー投手と比較すれば故障リスクも少ないかもしれない。

　それでも1990年代に大活躍し、今年殿堂入りを果たしたトム・グラビン投手らトップクラスの技巧派でも、バーリーに並ぶことはできなかったのだ。

現在のメジャーに、バーリーに並びそうな選手はいない。

　現在メジャー球界を代表する投手で200イニングを続けているのは、ジャスティン・バーランダー投手やジェームス・シールズ投手の8年連続、フェリックス・ヘルナンデス投手で7年連続といったところだ。

　バーランダー、シールズはこれから30代半ばに突入し、今後もこれまでの投球スタイルが維持できるのか疑問が残る。また28歳のヘルナンデスにしても、バーリーに並ぶ頃には35歳に到達している。

　今年も両リーグ最多の21勝を挙げ、連続サイ・ヤング賞受賞濃厚なクレイトン・カーショー投手は26歳だが、昨シーズンの登板過多が影響し、スタートが出遅れたため27試合登板で198回1/3イニングに留まってしまった（それでも27試合で200イニング近く投げたことも驚異的だが……）。

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