オフサイド・トリップBACK NUMBER

モウリーニョの影に踊らされて……。
インテル&ベニテス監督が急失速! 

text by

田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2010/11/29 10:30

モウリーニョの影に踊らされて……。インテル&ベニテス監督が急失速!<Number Web> photograph by Getty Images

得点ランキングトップを走るエトー。昨年の得点ランキング12位という成績を考えると……いかにベニテスの戦術変化が大きいのかが分かる

インテル&ベニテスが勝つために、3つの提案。

 進退極まったベニテス。彼が窮状を脱するためにやるべきことは3つある。

 1つ目は本来のスタイルに立ち返ることだ。

 もともとベニテスは典型的な慎重居士で、リバプール時代はもとより、その前のバレンシア時代からカウンターを基盤にしたサッカーで結果を出してきた。そこにはベニテス流のアレンジ(ウインガー的な選手の活用や左右両サイドへの配球)も加えられていたわけだが、基本的にはモウリーニョと同じようなサッカーを志向するタイプに分類される。

 このスタイルに戻らない手はない。ましてや今の戦場はイタリア。どの監督もサッカーの質の善し悪しなどは度外視してひたすら勝利にこだわる、仁義なき戦いが繰り広げられる世界である。バルサもどきのショートパスを中途半端に使って失敗するのなら、守備を固めてカウンターという路線に立ち返るほうがはるかに現実的だ。

 関連して2つ目は、モウリーニョを意識しすぎないようにすることだ。

 なんとかしてモウリーニョの鼻を明かしたい。前任者の遺産で勝ったのだと言われたくない、という気持ちはよくわかる。

 だが極論すれば、この点に関してベニテスにはどのみち勝ち目はない。負ければもちろんモウリーニョの方が一枚上手だったということになるし、仮に違うサッカーで勝ったとしても、モウリーニョの遺産のおかげだと言われるのは目に見えているからだ。

 そもそも今のベニテスに、なりふりをかまっている余裕はないはずだ。ベニテスはモウリーニョ以上にリアリズムに徹したサッカーをするぐらいでちょうどいい。

究極の解決策=カカの獲得。

 3つ目は冬の移籍市場での補強である。

 ベニテスは怪我をしたサムエルの穴を埋められる選手が必要だと語っているが、ここでは気の早い現地メディアが何度となく報じているアイディアを推したい。それは現在レアルに籍を置いているカカの獲得だ。

 目には目を、歯に歯を。イブラヒモビッチとミランに対抗する上で、これ以上の意趣返しはない。単純な話、カカが加われば効果的にカウンターを仕掛けることができるようになるし、チームの得点力不足も解消される。気の利いた買い物をしたということで、セリエAの注目度とベニテスの株も一気にあがるだろう。

 そしてカカを獲ってインテルが元気になれば、セリエAそのものも活性化する。やはり強くてしかるべきチームが強くないと、リーグは盛り上がらないのである。

 むろんモウリーニョがNOと言えば話は立ち消えになるし、イブラヒモビッチと違って仁義を重んじるカカは、ミランの最大のライバルであるインテルに移籍するのを拒むかもしれない。またこのシナリオを実現させるためには、当のベニテス政権が冬の移籍市場が開く1月までなんとか持ちこたえることが大前提となる。

 セリエAは、監督の首が世界一簡単に飛んでしまうリーグでもある。修羅場で生き抜くために、ベニテスには相応の覚悟と決断が求められている。

■関連コラム► 泥沼の買収騒動と屈辱の降格圏。リバプールとジェラードは救われるか。 (10/11/02)
► “モウリーニョの亡霊”をベニテスは振り払えるか? (10/08/23)

コメントする・見る
BACK 1 2 3 4

この記事にコメントする

利用規約を遵守の上、ご投稿ください。

インテル
ラファエル・ベニテス
ジョゼ・モウリーニョ

海外サッカーの前後のコラム

ページトップ