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問題児A・キャロルが英代表デビュー!
久々の大型国産ストライカーの正体。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2010/11/25 10:30

問題児A・キャロルが英代表デビュー!久々の大型国産ストライカーの正体。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

11月17日、フランスとの親善試合で代表デビューを飾ったアンディ・キャロル。得点はできなかったが、空中戦での強さを見せた

 “ゴール・ハンター”の証とも言うべき「背番号9」。近年のプレミアリーグでは、2007年にリバプール入りしたフェルナンド・トーレスの代名詞となっている。

 だが、今季は待望の国産「ナンバー9」がプレミアに出現した。2部リーグから返り咲きを果たしたニューカッスルの若きエース、アンディ・キャロルである。

 ニューカッスルの「9番」が持つ重みは、プレミアでも随一だ。1950年代には、3度のFAカップ優勝の原動力となったジャッキー・ミルバーン、70年代には“スーパーマック”ことマルコム・マクドナルド、そして'96年からの10年間は、地元出身でクラブ歴代得点王のアラン・シアラーが背負ってきた栄光の背番号なのだ。

 今季開幕前、21歳のキャロルが後継者に抜擢されると、ニューカッスル界隈では歓迎と祝福の声に混じって、過度のプレッシャーを心配する声も聞かれた。しかし、「子供の頃からの夢が叶った。期待に応えてみせるよ」と語っていたクラブ生え抜きのストライカーは、開幕からの3カ月間で「9番」としてのポテンシャルの高さを全国に知らしめた。11月13日の13節までに7得点をあげて、プレミアの得点ランキングでフローラン・マルダ、カルロス・テベスらと並び1位に立っている。

シアラーが「空陸両用の逸材」と絶賛する傑出した得点能力。

 最大の武器は、193センチの長身を生かしたヘディングだ。高さだけではなく、上半身の強さ、両脚のバネ、ジャンプのタイミングの良さ、空中戦に身を投じる勇気を兼ね備えている。その真骨頂が発揮されたのは、11節のアーセナル戦(1-0)で奪った決勝ゴールだろう。ハイボールに対し、相手GKはパンチングで対応しようとしたが、怯まず飛び込むと、余裕で競り勝って無人のゴールにヘディングで放り込んだのだった。

「彼は空陸両用の逸材だ」と指摘するのは、誰あろうシアラーだ。プレミアに復帰して初のホームゲーム、2節のアストンビラ戦(6-0)でいきなり達成したハットトリックは、利き足の左足による3ゴールだった。特に、自らのダイアゴナルパスでプレーを逆サイドに振り、ボックス内へのリターンに走り込むと、1タッチでGKをかわして流し込んだ3点目は、VIP席で観戦していた先代エースの満面の笑みとガッツポーズという「承認」を得た。また、強烈なミドルを放つシアラーばりのパワーも秘めていることは、チームに19得点をもたらした昨季中に証明済みだ。

【次ページ】 1対1では無類の強さを誇るも組織的守備に屈する脆さが。

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