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モウリーニョの影に踊らされて……。
インテル&ベニテス監督が急失速! 

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byGetty Images

posted2010/11/29 10:30

モウリーニョの影に踊らされて……。インテル&ベニテス監督が急失速!<Number Web> photograph by Getty Images

得点ランキングトップを走るエトー。昨年の得点ランキング12位という成績を考えると……いかにベニテスの戦術変化が大きいのかが分かる

誰の目にも明らかなモウリーニョ時代との差。

 それでもチームの成績がよければ、モラッティがここまで激怒することもなかったに違いない。だがベニテス率いる新生インテルの成績は、モウリーニョが率いていた昨シーズンまでのチームとは、およそ比べ物にならないほど悲惨なことになっている。

 13節を終えた時点での成績は、昨シーズンが10勝2分け1敗だったが、今シーズンは5勝5分け3敗。つまり勝った試合がすでに5少なく、引き分けが3つ、負け試合が2つ多い。たしかに引き分け試合の数を5、敗戦を1回だけにとどめて残りすべての試合に勝てば、昨シーズンと同じ成績(24勝10分け4敗)が残せる計算にはなるが、これはほぼ不可能だ。モウリーニョとの力量の差は、誰の目にも明らかになってしまった。

 さらに問題なのはスコアの中身だ。昨シーズンは13節を終えた時点で得点が32で失点が11だったのに対し、今シーズンは得点が14で失点が9となっている。

怖さを失った攻撃陣と、安定感を失った守備陣。

 このような差が生まれている原因は明らかだ。

 攻撃に関して言えば、モウリーニョ指揮下のインテルは、つまらないと言われようが華がないと叩かれようが、徹底的に守りを固めた上で、ロングボールやポストプレーからのカウンターをフルに活用していた。だがベニテスは、エトーをCFに戻しつつディフェンスのラインも高めにとり、ショートパスからの組み立てや細かなワンツーによるチャンスメイクを狙うようになった。

 エトーはベニテスの期待に応えているが(9得点で個人ランキング同率1位)、チーム全体としてゴールが減ってしまったのでは元も子もない。昨シーズン、リーグ戦で22点を挙げたミリートは今シーズンわずかにまだ2点。スナイデルに至っては0である。ベニテスのアプローチは、結果的にはチームとしての得点力を低下させただけでなく、他の攻撃陣から得点のチャンスを奪う形になってしまっている。

 守備陣も課題は山積している。モウリーニョ時代に比べると安定感を欠くだけでなく、同じミスを繰り返すようになったからだ。その最たるものが、ギャレス・ベイルにハットトリックを決められたCLのトットナム戦、セカンドレグである。  

 GKのセザールや、中盤の要カンビアッソの欠場が響いた側面もあるだろう。しかしこの試合では先発したのは、昨シーズン、CLを制した時とまったく同じ守備陣(マイコン、ルシオ、サムエル、キブ)だった(サムエルはその後、故障のために今シーズン絶望)。

 ベイルの好調ぶりを差し引いても、モウリーニョが監督だったならば、このような失態は避けられたのではないかという考えは、どうしても頭をもたげてきてしまう。

【次ページ】 ベニテスに影響を及ぼし続けるモウリーニョの言葉。

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