プレミアリーグの時間BACK NUMBER
初出場のCLで快進撃中のトッテナム。
“ふたりのエース”が落とし穴に?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2010/11/14 08:00
11月2日、CLグループリーグ第4節のインテル戦で先制点を挙げたファンデルファールト。3-1で快勝し、得失点差でインテルをおさえ、グループA首位に立った
デフォー負傷離脱でファンデルファールトに利用価値が。
それでも、加入直後からファンデルファールトは活躍した。その背景には、本人の実力もさることながら、ある“不幸”があった。
レドナップがエースと認めているジャーメイン・デフォーの戦線離脱である。
デフォーは9月7日の代表戦で足首に怪我を負い、手術後に全治3カ月の診断が下された。表面的には大打撃と映る。しかし、ファンデルファールトの起用法に関する悩みを軽減するという、“メリット”もあった。
指揮官は、その4日後のウェストブロムウィッチ戦から、早速、ファンデルファールトを1.5列目で起用している。その後、2トップの採用時には右サイドで起用されたが、ファンデルファールトはチームシート上のポジションはアウトサイドでも、ピッチ上では敵陣内のいたる所に顔を出して得点に絡んだ。
システム変更でファンデルファールトの攻撃力を生かす。
だが、同時に新たな問題も生まれた。
自由に動くファンデルファールトに加え、ベイルとモドリッチまでもが頻繁に攻め上がるため、中盤に大きなスペースが空くことになった。カウンターに対するリスクが格段に増してしまったのだ。
そこでレドナップは、同点で迎えたアストンビラ戦(10月2日)のハーフタイム中、システムを4-4-2から、ピーター・クラウチの1トップをファンデルファールトが背後からサポートする4-1-4-1に変更した。その成果が、後半の零封と、クラウチの落としを受けてファンデルファールトがゴール正面から蹴り込んだ75分の逆転ゴールだった。
それ以降、ファンデルファールトを生かす4-4-1-1が基本として定着した。
その結果が、インテル戦での記念すべき勝利である。ファンデルファールトがモドリッチのスルーパスに反応して先制ゴールを決め、ベイルの突破とクロスがとどめの2ゴールを生んだ攻撃は見事だった。