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チームメイトがあのベッカム!?
レスター・阿部勇樹の正念場。 

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byGetty Images

posted2010/11/15 10:30

チームメイトがあのベッカム!?レスター・阿部勇樹の正念場。<Number Web> photograph by Getty Images

「ベッカム、イングランドサッカー界に復帰か?」

 10月中旬、英国の各メディアは時ならぬ噂に色めき立った。

 もちろんこの手のニュースが流れるのは初めてではないし、従来ならば我々も「ああ、いつもの騒動か」と高みの見物を決め込むことができた。

 だが今回は事情が違う。移籍先として名が挙がったのは、なんと阿部勇樹が所属するレスター・シティだったからだ。

 ベッカムのような現役のスター選手が、2部のチームに加入するのは例外中の例外。実現すればレスターは最強の助っ人を得られるし、極端な話、移籍先として噂になっただけでも相当のパブリシティ効果を得たはずだ。

 とはいえ、今回の移籍報道は必ずしもいいこと尽くめではない。むしろピッチ内外で大きく揺れ動く、レスターの現状を象徴する出来事でさえあった。

新監督の名はスベン・ゴラン・エリクソン。

 そもそも、なぜベッカム加入などという噂が突如として流れたのか。きっかけとなったのは監督の交代である。

 昨シーズンのレスターはリーグ戦で5位、プレミア昇格をかけたプレーオフでは準決勝で敗退するなど、あと一歩のところでプレミア復帰を逃していた。

 この「あと一歩」の力を得るべく、今シーズンのレスターは、'90年代半ばにユベントス等でCLを制覇したこともあるパウロ・ソウザ(元ポルトガル代表)を新監督に起用。ポルトガル代表のアシスタントコーチをつとめたことがあり、イングランドの2部リーグでも監督として実績を残してきたソウザには、大きな期待が寄せられていた。

 ところがチームは開幕から振るわず、8節を消化した時点では1勝2分6敗で全24チーム中21位にまで転落してしまう。かくしてソウザは10月1日付であっけなく解任。その2日後に後任に就いたのが、あのスベン・ゴラン・エリクソンだった。

矢継ぎ早に実行されたチーム改造計画。

 エリクソンは2001年から2006年にかけてイングランド代表を率いた人物で、以降はマンチェスター・シティやメキシコ代表の監督、ノッツ・カウンティのディレクター(イングランド4部)、コート・ジボワール代表監督などを歴任してきた。

 残念ながらエリクソンは、監督として華やかな経歴を持っているにもかかわらず、最近はスキャンダリズムの餌食になることも多い。レスターの監督に就任した際も、いわゆる客寄せパンダ的な人事ではないかという見方が強かった。

 しかし周囲の穿った目をよそに、エリクソンは監督就任早々にチームの梃入れに着手する。手始めに懸案だった守備を強化すべく、サイドバックやセンターバックを他のチームからレンタル契約などで獲得。10月末には元イングランド代表ストライカーのダリウス・バッセルとも契約を結んだ。

 エリクソンはさらに1月の移籍市場でも、大物選手の獲得が不可欠だと発言。これを受けて浮上したのが、イングランド代表監督時代に親密な関係を築き、「自分が声をかければいつでも呼び寄せることができる」とうそぶいてきたベッカムの名前だったのである。

 最終的にベッカム獲得説は、エリクソン本人が否定したことで立ち消えとなったが、エリクソンが冬の移籍市場でも大幅な補強を試みるのは確実だろう。それはシーズン後半戦に向けて、レスターというチームが一層の変貌を遂げることを意味する。

【次ページ】 経営面でも大きな転換期を迎えているレスター。

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