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アイスホッケー女子世界選手権展望。
大会の“意味”と日本代表の横顔。 

text by

小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byAFLO SPORT

posted2013/04/06 08:01

アイスホッケー女子世界選手権展望。大会の“意味”と日本代表の横顔。<Number Web> photograph by AFLO SPORT

目にパック、口にはスティックがあしらわれた「スマイルジャパン」のロゴの前で笑顔を見せる選手たち。左から、日本の攻撃をリードする久保英恵、21歳の主将・大澤ちほ、フィンランドでのプレー経験もある平野由佳。

日本代表を背負う2人の若き大学生プレイヤー。

 大澤はまだ21歳だが、前回のバンクーバー五輪世界最終予選にも出場している。

 スケーティングが速く、パスのセンスも素晴らしい。苫小牧駒澤大学の4年生。五輪切符を決めたメンバーの中で、彼女より学年が下の選手は6人だけだったが、主将として常に先頭に立ってチームを鼓舞した。プレーのレベルの高さだけでなく、精神的な支柱として、今後の日本代表をリードしていく選手だ。

 18歳で日本代表の第2セットに入った床は、ソチ五輪世界最終予選でも、まったく物おじしないプレーを見せた。

 父親の泰則さんもDFだったことから、4歳でアイスホッケーを始めた時から、折に触れて父親の教えを受けてきた。ニュートラルゾーン(リンクの中盤)での1対1には自信を持っている。中学3年生の時、テレビで見たバンクーバー五輪の開会式に感動して「絶対にソチ五輪に出たい」と考えたという。釧路江南高校を卒業して、この春、法政大学に進学。東京で暮らし始めたばかりだ。

カナダ人コーチの下、「高い位置」からのプレスを学んだ選手たち。

 開催国枠での出場だった長野五輪を除けば、現在の女子日本代表が初めて自力で五輪切符を獲得した理由はいろいろあるが、重要なポイントの一つは守備力の向上だった。

 これは昨年2月、代表コーチに就任した、トリノ、バンクーバー五輪の金メダリスト、カナダ代表のDFだったカーラ・マクラウドがチームにもたらしたものだ。サッカーで言うところの「高い位置」から、相手にどんどんプレスをかけてパックを奪いに行く積極的な守備戦術を導入した。その場合、どのようなプレー、どのような動きが必要か、選手たちはこの1年間で学び、戦術理解を高めてきた。

 床は年齢こそ若いものの、日本代表がこうした新しい守備戦術を実現するうえで、重要な役割を担っている。世界選手権でも注目の選手だ。

 ソチ五輪では、日本は予選リーグでスウェーデン(5位)、ロシア(6位)、ドイツ(8位)と対戦することが決まっている。まずは、まだ成し遂げていない五輪初勝利を目指すことになるが、そのためには、世界選手権ディビジョンIでの全勝優勝が期待されるところだ。

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