ソチ五輪 雪と氷の情熱BACK NUMBER
アイスホッケー女子世界選手権展望。
大会の“意味”と日本代表の横顔。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byAFLO SPORT
posted2013/04/06 08:01
目にパック、口にはスティックがあしらわれた「スマイルジャパン」のロゴの前で笑顔を見せる選手たち。左から、日本の攻撃をリードする久保英恵、21歳の主将・大澤ちほ、フィンランドでのプレー経験もある平野由佳。
他の競技に先駆けて来年のソチ五輪出場を決め、一躍注目を集めたアイスホッケー女子日本代表は、4月7日から世界選手権ディビジョンI(ノルウェー)に出場する。女子アイスホッケーへの注目がにわかに高まるなか、この世界選手権の意味と、ソチ五輪に向けた代表チームの現状について、詳しく見てみたい。
アイスホッケーの世界選手権はオリンピックイヤー以外の年に行われており、レベルによってグループ分けされている。現在、日本が所属しているディビジョンIグループAは、いわゆる「2部」に該当するレベルだ。「1部」に該当する最上位のトップディビジョンに属するのが8カ国。ディビジョンIグループAが6カ国。ディビジョンIで優勝すると、トップディビジョンに昇格することができる。そういった仕組みになっている。
日本の世界ランキングは現在11位。ディビジョンIの中で3番目だが、ソチ五輪世界最終予選では、ディビジョンIから日本だけが五輪切符を獲得した。そう考えれば、ディビジョンIで優勝する可能性は十分にあると見ていいだろう。
今回の世界選手権に優勝することの大きな意味とは?
日本は過去、2000年、2004年、2008年、2009年にトップディビジョンでプレーしているが、今大会、優勝と共に5年ぶりのトップディビジョン昇格を目指すことになる。
優勝してトップディビジョン昇格を決めることは、単に日本のレベルが上がったことを示すだけでなく、“実質的”にも大きな意味がある。
というのは、ソチ五輪の次、2018年のピョンチャン五輪の出場権は、(現在と同じ方法であれば)2016年の世界選手権終了時点で、世界ランキングが6位以内の国に、自動的に与えられるからだ。
日本アイスホッケー連盟は、ピョンチャン五輪に向けて、この「世界ランキング6位以内」での自動出場権獲得を目標に掲げている。8カ国しか出場できない五輪出場権を獲得した日本にとって、不可能な目標ではないだろう。
世界ランキングは、国際大会の成績によるポイントで決まる。今年のディビジョンIで優勝して、次の2015年世界選手権はトップディビジョンでプレーしないと、2016年時点で世界ランキング6位に入ることは事実上できない。だから、今年の世界選手権で優勝することは極めて重要なのである。