ソチ五輪 雪と氷の情熱BACK NUMBER
アイスホッケー女子世界選手権展望。
大会の“意味”と日本代表の横顔。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byAFLO SPORT
posted2013/04/06 08:01
目にパック、口にはスティックがあしらわれた「スマイルジャパン」のロゴの前で笑顔を見せる選手たち。左から、日本の攻撃をリードする久保英恵、21歳の主将・大澤ちほ、フィンランドでのプレー経験もある平野由佳。
「スマイルジャパン」を「なでしこジャパン」のように。
ソチ五輪出場を決めて、まだ2カ月しか経っていないが、主将の大澤ちほは「世界選手権は、次のピョンチャン五輪にも関係してくる。ソチに向けてだけでなく、ピョンチャンに向けての大会に」と語っており、モチベーションを新たにしている。
代表チームの愛称も「スマイルジャパン」に決まって、これを「サッカーの『なでしこジャパン』のように、みなさんに知ってもらいたい」という思いもある。優勝してのトップディビジョン昇格は、日本女子アイスホッケーにとって両方の意味で重要なのである。
ディビジョンIグループA、最大のライバルはスロバキア。
さて、世界選手権ディビジョンIグループAで対戦するのはラトビア(14位)、デンマーク(19位)、ノルウェー(10位)、スロバキア(7位)、オーストリア(15位)の5カ国(カッコ内は世界ランキング)。日本は11位だが、これにはソチ五輪世界最終予選の結果は反映されていない。
現時点での実力は、グループの中で、日本がトップを争っていると言っていいだろう。デンマーク、ノルウェー、スロバキアとは世界最終予選で対戦、デンマークに5-0、ノルウェーに4-3で勝利、スロバキアにだけ延長でも0-0で決着がつかず、サッカーのPK戦に当たるゲームウィニングショット戦で敗れている。今回もやはり、現地12日のスロバキア戦がカギになりそうだ。
全力でスケートを滑ることができる時間は1回あたり45秒程度。
日本代表のメンバーは、ソチ五輪を決めた世界最終予選と基本的には同じ。現在の代表チームが、どのようなメンバーで、どのように戦っているのか、ここで簡単に紹介しておこう。
世界最終予選の時に選出されたメンバーは20人。FW11人、DF7人、GK2人だ。
サッカーやバスケットボールと決定的に異なっているのは、アイスホッケーの場合、試合中、審判が笛を吹いてプレーを止めなくても、選手交代は自由に、何回でも行える、という点だ。
選手は防具をつけ、スティックを持ってプレーしているから、全力でスケートを滑ることができる時間は1回あたりわずか45秒程度にすぎない。次から次へと交代していかないと、体力的にもたないのである。