野球善哉BACK NUMBER
次の“200本安打”は誰が達成する?
投高打低を覆す今季期待の打者たち。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/03/31 08:03
昨季も序盤は不振だったが、交流戦で打棒が爆発した坂口智隆。交流戦の首位打者、最多安打、最多得点を記録するという目覚ましい活躍を見せ、シーズン終盤での17打席連続無安打という極端な不振さえなければ首位打者タイトルの可能性もあったのだが……。
松坂大輔がアメリカに行った後、ダルビッシュ有が頭角を現してきたように。
イチローが達成した“シーズン200安打”の偉業を、青木宣親や西岡剛らが追いかけていったように。
日本球界を代表するスター選手の渡米は、いつも国内の新たなスターの誕生を促してきた。
すでに、田中将大(楽天)、浅尾拓也(中日)、内海哲也(巨人)、涌井秀章(西武)、中村剛也(西武)、前田健太(広島)、平野佳寿(オリックス)、中田翔(日ハム)など、人気選手も次々と生まれてきており、それぞれに新たな時代を築き始めている。
ダルビッシュというスーパースターの後に続くのは、おそらく田中や前田健らスターターたちだろうし、浅尾や平野も役割こそ違えど、彼らに次ぐ魅力ある投手と認められつつある。
だが打者に目を移すと……魅力的な選手はそれなりにいるのだが、投手のようにスッと名前が出て来ないのが実際だろう。特に、イチローや青木らのような日本人選手のヒットメーカーの名前は、意外と思い浮かばない。
統一球の影響など2011年は「打」の不安を大きく感じることとなったシーズンだが、これから先、“シーズン200本安打”を記録する日本人選手は出てくるのだろうか。
昨季のパ・リーグ最多安打のタイトルを持つ坂口智隆。
その有力候補になってほしいと密かに期待している選手たちが、オリックス・坂口智隆、日ハムの糸井嘉男、ソフトバンクの長谷川勇也である。
特に、昨季に175安打を記録して最多安打のタイトルを獲得している坂口には、何かを期待したくなってしまう大器の予感が漂っているのだ。
'03年に入団した坂口は'08年に開幕から1番を務め、レギュラーに定着した。'09年8月には球団ではイチロー以来となる月間40安打を記録するなど、リードオフマンとしての存在感を示した。シーズンを終えてみると、鉄平(楽天)に続くリーグ2位の打率を記録。'10年も1番打者として活躍し、交流戦では.389の好成績を残し、シーズン打率3割をキープした。昨年は、打率3割こそ切ったものの、パ・リーグの最多安打のタイトルを獲得した。