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次の“200本安打”は誰が達成する?
投高打低を覆す今季期待の打者たち。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/03/31 08:03
昨季も序盤は不振だったが、交流戦で打棒が爆発した坂口智隆。交流戦の首位打者、最多安打、最多得点を記録するという目覚ましい活躍を見せ、シーズン終盤での17打席連続無安打という極端な不振さえなければ首位打者タイトルの可能性もあったのだが……。
4年連続150本以上。坂口の安打数は年々増加している。
実際に坂口は、4年連続で150安打以上を放っており、しかも安打数は年々増加している。
'08年には対左投手の打率が.232しかなかったが、翌年にはそれも克服し、’10年からは左腕相手に3割を超える打率を残している。まさにヒットメーカーとして、名実ともに十二分の活躍を見せているといえよう。
とはいえ、成績だけが坂口の魅力ではない。
自身のバッティングスタイルに確固たる自信を持つ、その強靭なメンタリティはいぶし銀のただならぬオーラを放つ。
ある時、不調に陥った坂口は、記者からその原因を尋ねられるとあっさり言い放った。
「自分では何が原因かは分かっている。結果は出ていませんけど、焦ってもしょうがないでしょう」
「ジタバタしてもしょうがないんで、序盤にどうしようとか考えません」
その坂口だが、ここ数年はシーズンの出だしがイマイチ良くない。'09年は4月の打率が1割台だったし、'10年には不振でスタメン落ちしていたことさえあった。
もし坂口の序盤の成績さえ良くなれば、シーズン終了時の成績はさらに上がるのではないか、シーズン200安打もそう遠くないのではないか……当然そういう期待を抱いていた。
だが、その思いを坂口本人にぶつけてみると、なんともあっさり否定されてしまった。
「いろんな人からいつも序盤が悪いといわれているんですけど、僕はそう思ってないんです。自分のバッティングはできているし、悪いといっても実際は成績も年々、良くなっている。ジタバタしてもしょうがないんで、今年は序盤にどうしようとか考えませんし、いつもどおりにやるだけやと思っています」
さらに、質問を重ねてみた。
昨季獲得した初タイトルについて。
あるいは、シーズン200安打を目標に設定しているのかについて。
坂口は、“らしさ”を全開にこう答えた。
「タイトルを獲れたことは自信にはなっていると思いますけど、自分では納得がいってないことがあるのも事実。(シーズン200安打の)気持ちはあると言えばあるかもしれないけど、200安打を打てたらそれで良いのかっていうと、そういうわけではないですね。常に、高い目標を持ち続けたいんで」