野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
実は言葉の人、落合博満。
オレ流語録8年分、一挙公開!
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/12/03 08:02
退任の記者会見にて「中日以外のチームから監督のオファーがあればどうしますか」との質問に対し、「話があれば聞く」と答えた落合博満氏。「初老の男性に戻った。映画館の右の後ろで女房と映画を観たり、温泉にでも行きたいと思います」というコメントも残している
「知らないんだなあ、顔で野球をやるというのを」
「逃がさないよ。逃がして何になる? ボロボロになればいい。過去の大エースは自分でそれを乗り越えていったもの。本人がやろうとしていることが違う方向だから自分で気付かなきゃ。コーチがいくら言ったって、本人が気付いてくれないことには前に進んで行かない」('10年5月5日 4回6失点でKOされたチェンの二軍落ちについて)
「評価低いんだなあ。1軍の修羅場をくぐってきた選手。知らないんだなあ、顔で野球をやるというのを」('09年7月6日 浪人を経て入団した河原について)
「下馬評ではBクラスか最下位というのを、彼らの力で打ち勝ってリーグ優勝までこぎつけた。ドラゴンズは誇れるチーム。もっともっとよくなるよ、このチームは」('04年 日本シリーズで敗戦後)
当初はオカルトチックな話にしようとしていたが、意外といい言葉が続いたまま文字数を喰ってしまった。この際なので最後にこんな一面もあるという「人間味に溢れた落合の言葉」で終わりにしようと思う。
ちょっとだけ見せてくれたエモーショナルなアツイ一面。
「選手会として、徹底的に戦って来い。優勝や日本シリーズがなくなってもかまわない。世の中には、それ以上に大切なことがある」('04年10月2日付朝日新聞)
WBCへの選手派遣拒否などプロは契約通りに仕事をこなす、という確固たる信念の一方で、就任一年目に起きた球界再編問題では、選手会長の井端にこんなことを言っていたとは、アツイ。
「白井オーナーに恥をかかせないためには勝つしかないと思っていた。勝つことに必死だった。満塁ホームランが出た時に泣いたのはこれでオーナーが悪口を言われなくて済むと思ったから」('06年11月29日付東京中日スポーツ)
優勝を決めた一発でベンチ前でウッズに抱き着き、お立ち台でも「絶対に泣くまいと思っていたのに、泣いたのは一番私が早かったと思います」と感涙。感情を殺し切っていた近年からは信じられない言動の陰には、恩人への思いが……あ、アツイ。
そして最後は今年のセ・リーグ優勝を決めた後のコメント。
「今だから言うよ。8年間監督をやったけど、これだけたくましい選手たちを見たのははじめてだ。すばらしい!」