野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
実は言葉の人、落合博満。
オレ流語録8年分、一挙公開!
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/12/03 08:02
退任の記者会見にて「中日以外のチームから監督のオファーがあればどうしますか」との質問に対し、「話があれば聞く」と答えた落合博満氏。「初老の男性に戻った。映画館の右の後ろで女房と映画を観たり、温泉にでも行きたいと思います」というコメントも残している
ドアラとの友情よりも「貝になる」ことを選んだ……。
そんな天才監督の意図が思うように伝わらないもどかしさからか、インタビュアーの無能さにイライラを募らせ、時には爆発もした。
最も有名なものでは'09年CSにおける全国中継でのインタビュー。CS第2ステージへの抱負について聞かれた時だ。
「今ここで言うことじゃないでしょ……違います? 全球団2009年のペナント賭けて戦っているわけですから。今それを答えるっていうことは……昨日も言ったけど愚問じゃないですか」
その高圧的な発言は茶の間を凍りつかせ、視聴者から「何様だ」と抗議が殺到したとか。そんなことから、ついに「貝になる」('09年11月29日 OB総会)と宣言し、前年に「ドアラチームは俺とお前だ」と言ったというほっこりムードのファン感謝デーにも参加しなくなってしまった。
本人たちも意図を理解できなかったアライバの配置転換。
落合野球の戦略は基本シンプルである。しかし、年に数回、開幕投手・川崎憲次郎のような、何とも言えない采配をふるい、前中日監督から「ウケを狙いすぎ」と嫌味のひとつも貰うほか、解説者の頭に「?」マークを浮かべることを得意とする。それは時に当該選手ですら理解できないこともあった。
最たるものは荒木・井端の配置転換だろう。落合監督はこのコンバートに一度は頓挫するも執念で実行した。
「'04年のシーズンを戦ったときの彼らの野球に対する取り組みにもう一度戻すんだ。完成されたものよりもさらに高度なものを求めたい。新しいポジションで新しい野球ができれば、もっと息の長い野球人生になる。(中略)どんな結果になるかは目を瞑るけど、決めるのは監督。監督がやれと言ったらやらなければいけない」('10年1月12日「読む野球」)
その強硬姿勢に、周囲の論調と同じくアライバ自身も当初は反発もしくは疑問を抱いていたようだったが、それから一年半がたった今、落合監督退任の手記で二人ともこのような発言をしている。