野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
実は言葉の人、落合博満。
オレ流語録8年分、一挙公開!
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/12/03 08:02
退任の記者会見にて「中日以外のチームから監督のオファーがあればどうしますか」との質問に対し、「話があれば聞く」と答えた落合博満氏。「初老の男性に戻った。映画館の右の後ろで女房と映画を観たり、温泉にでも行きたいと思います」というコメントも残している
選手に要求したのはプロの自覚と結果に対する自己責任。
「トレード、FAなどで補強はしない。今いる選手たちの能力を底上げして優勝を勝ち取る」
'03年秋。就任会見での第一声は補強凍結宣言だった。ライバルの巨人がローズ、小久保など大型移籍で戦力を補強するなか、ドラゴンズは今いる選手たちに平等にチャンスを与え、徹底的に鍛え上げることを宣言。
「練習でいくら泣いても引退する時に泣くなと言いたい。もう1年死ぬ気でやるから置いてくれ、という言葉は聞きたくない。じゃあ、これまでは何だったんだ、となる。とにかく、この世界で生きていける何かを見せて欲しい」('03年10月25日付中日スポーツ)
「指導には相性がある。合わないと思ったら、コーチの話を聞かなくても結構。最終的に自分の責任は、自分で取るんだ」(’03年12月13日 入団発表)
監督としてまず求めたものは選手たちにプロとしての自覚と結果に対する自己責任である。その姿勢はメディアに対しても同じ。退任が決まって以来、落合番記者たちの苦闘の記録を新聞等でよく目にするが、どれも凄まじい内容。羨ましくもあり恐ろしくもあり。
禅問答で群がる記者を煙に巻き、散文詩で突き放す。
対メディア、基本的に本音を喋らず。空を掴む禅問答が如し。例えば'04年5月11日。
「収穫といえば井端のサードゴロ(併殺打)。君たちはわからなくて結構」
延長10回に岩瀬が打たれて単独最下位に沈んだ試合後コメントは、名古屋のノストラダムスの本領発揮ともいうべき散文詩コメント。しかし君たち(報道陣)はわからなくて結構と突き放しながらも、あえて口にするのは、メディアに対して「プロならばよく見て考えて理解しろ」というメッセージのようにも思えなくもない。
「今日俺がやろうとしたことは、お前達には理解できないだろうな。理解しようとするな。聞いたって絶対に理解できないんだから」('04年8月26日付東京中日スポーツ)
「勝負事は逃げる方が有利なんだ。追う方が有利というのはやったことがない人が言うことだ」('06年7月18日同上)
「オレが悪くて負けた。みすみす勝てるゲームをなあ。野球をやってて、一生悔いが残る。自分に腹をたてている。一生忘れられないだろうな。詮索するな」('06年8月21日同上)
「(試合は)作っていない。間違えた。間違えたら勝てない。簡単なことだ。どこ? さあ、どこでしょう」('08年6月29日同上)
「見ての通り、わかりやすいゲーム。意味わかんないだろ?」('11年8月15日同上)