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実は言葉の人、落合博満。
オレ流語録8年分、一挙公開! 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

PROFILE

photograph byHideki Sugiyama

posted2011/12/03 08:02

実は言葉の人、落合博満。オレ流語録8年分、一挙公開!<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

退任の記者会見にて「中日以外のチームから監督のオファーがあればどうしますか」との質問に対し、「話があれば聞く」と答えた落合博満氏。「初老の男性に戻った。映画館の右の後ろで女房と映画を観たり、温泉にでも行きたいと思います」というコメントも残している

憎しみが、いつしか深い信頼に……落合の言葉の魔術。

「正直、ショートを続けたかった。(コンバートは)ゴールデングラブを継続しているのに、動きが悪くなっているという烙印を押された認識でした。(中略)今は違います。新しい野球を研究する楽しさを知りましたし、考え方が成長した部分もあります」('11年11月21日東京中日スポーツ井端手記)

「(コンバート以後)よく怒られた。この時ばかりは監督を憎んだ。『オレの右肩が悪いのを知っててショートにしたのはアンタだろ』。あれから1年半。自分で言うのもあれだけど、プレーの質が変わった。足でボールを追えるようになった。野球人生を変えた1年半だった。(中略)監督っていつもそう。言葉足らずっていうか、もっと細かく説明してくれよって思ってばかりだったけど、いつも常人の2個、3個先を読んでた。今年限りで別れるのは正直ツラい。もし来年、監督がどこかでユニホームを着るのであれば、僕も付いていきたい」('11年10月19日デイリースポーツ荒木手記)

 驚くべき奇跡体験である。他にも他球団から見向きもされなかった中村紀を叩き直して日本シリーズMVPになるまでに復活させてみたり、「ボールを振らないのはミツとナベだけ」と高橋光信を代打に送ってサヨナラ四球を選ばせたりと、終始一貫、ミスは監督が被り、選手個々には練習で競わせ、結果を残せば「俺がレギュラーと認めた選手は12球団どこへ行ってもレギュラーを取れる」('09年12月1日「読む野球」)というように、岩瀬が如き絶対的な信頼感を寄せる。

「人間が投げてるんだ。悪い時だってあるよ」

「監督は頭が悪いわ。ベンチの采配ミスを、選手が救ってくれた。今年は優勝できる年。今年はそういう年なんだ。監督がもっと野球を知っていればなあ」('05年8月6日 ウッズのホームランで逆転勝ち後)

「人間が投げてるんだ。悪い時だってあるよ。1試合や2試合でバタバタしなさんな。これまであいつにどれだけチームが助けられてきたことか。それを考えないといけないだろ」('04年4月17日横浜戦。9回に岩瀬が2点差を追いつかれて引き分け後)

「これで安心してもらっちゃ困る。目標は200じゃない。どうやって野球人生を終えるか。200勝が墓場にならないようにな」('08年8月4日 山本昌、通算200勝達成後)

「あのころのオレはぼろかすに言われたよな。『岩瀬をつぶす気か』って。でも、打たれたから再調整って選手と、絶対に乗り越えてもらわなきゃ困る選手がいる。岩瀬は後者。だから1日もファームにはいってないだろ? 信頼というのとはまた少し違うんだけど、それだけのポジションにいる選手ってことだ」('09年5月12日 岩瀬200セーブ達成後)

【次ページ】 「知らないんだなあ、顔で野球をやるというのを」

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