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明暗を分けた「今季最初の決勝戦」。
バイエルンの失速で歴史が変わる!?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2011/11/25 10:30
「以前のコンディションを取り戻し、チームにフィットするためには試合に出る必要があった。ただ、ベストまでにはまだ時間がかかる」と試合後に話したロッベン(左)
普段通りの仕事ができなかったロッベンとクロース。
負傷明けのロッベンのコンディションはベストからは程遠かった。マッチアップしたドルトムントの左SBシュメルツァーも負傷明けで本調子ではなかったのだが、ロッベンはそんな相手に抑え込まれてしまった。
「この日のロッベンに見るべきところはほとんどなかった」と『ビルト』紙も伝えている。
タレント軍団のバイエルンでも群を抜いてシュートの上手いクロースは、低い位置で起用されたことで特長をいかせず。ボールを散らすことに意識をむけていたが、本職のシュバインシュタイガーほどのプレーを見せられたわけではない。
シュバインシュタイガーのいないバイエルンは……。
ブンデス・リーガ全体の興味深いデータがある。昨シーズンの1試合あたりのボールタッチ数が最も多かったのがシュバインシュタイガー、2位はドルトムントからレアル・マドリーに移籍したサヒンだった。
サヒンが抜けたことでドルトムントが苦しんだように、シュバインシュタイガーが戦列を離れたことで今度はバイエルンが苦しむことになっても不思議ではない。
さらに、ハインケス監督は、これまでに結果を残していた戦い方に自ら手を加えて、墓穴を掘った。手堅く勝利を手にしたい一戦ではセンターバックも出来るボアテンクを右サイドバックにおいて、センターバックには高さと強さのあるファン・ブイテンを起用することが多かった。
しかし、ドルトムント戦では右サイドバックに攻撃力のあるラフィーニャを起用して、ボアテンクにセンターバックを任せ、ファン・ブイテンをベンチに置いた。
相手のFWが高さと強さに定評のあるレバンドフスキであったこと、右サイドの攻撃が思うように機能しなかったことを考えても、ドルトムント戦の采配は首をかしげざるを得ないものだった。
「これまで我々が見せていたような気迫やアグレッシブさが影を潜めてしまった」
試合後にハインケス監督はそのように語ったが、これまでとは違う采配をふるった同監督にも責任がある。
さらに、65分にゲッツェのゴールでリードされてからの戦いは、お粗末だった。アラバ、オリッチ、ペーターセンを投入するが、効果的な攻撃が出来たわけではなく、リベリーの個人技頼りであることに変わりはなかった。