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香川所属のドルトムントが優勝目前!!
圧倒的強さを生んだ、3つの要因。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2011/04/23 08:00
第30節終了時点で、21勝6分3敗。ここまで連敗なしとシーズンを通して安定した戦いぶりを見せている
「ドルトムントがマイスターシャーレに手をかけた」
『WAZ』紙もブンデスリーガ公式サイトも同じような文句を用いて、ドルトムントの優勝が確かなものとなったと伝えている。
4月10日、2位レバークーゼンとの勝ち点差が5に縮まったことで、暗雲が立ち込めたかに思われたドルトムントの優勝への道筋がはっきりと見えてきた。
4月17日、2位レバークーゼンが1対5でバイエルンに大敗を喫した直後に行なわれた試合で、ドルトムントはフライブルクを3対0で退ける。この時点で4試合を残して、2位との勝ち点差は8にまで広がった。
本日4月23日の試合でドルトムントが勝ち、レバークーゼンが引き分けるか負けるかした時点で優勝が確定。レバークーゼンが残り試合に全勝したとしても、ドルトムントが2勝した時点で優勝は決まる。
ドルトムントが最後に優勝したのは2002年のこと。
この9年の間にクラブは経営危機に瀕したこともあったが、ツォルクSD(スポーツ・ディレクター)が先頭に立ち、平均年齢23歳の若くて、才能のある選手たちを集め、彼らが成長を続けた。それがリーグ躍進の原動力になった。では、実力のある選手たちが、確実に力を発揮できたのは何故なのか。
そこには3つの理由がある。
驚異的な走力で敵チームを圧倒するドルトムント。
まず挙げられるのは、選手たちの運動量だ。
ドルトムントは「ビス・トラック」という分析システムをスタジアムに導入している。走行距離、走るスピードなど、試合中の細かなデータを得られるようになった。例えば、ある選手がペナルティエリアに進入した際に、エリアに進入する角度からスピードの細かい変化まで調べ、それを映像と数値で示すことが出来る。
このシステムによれば、ドルトムントの選手たちは1試合で合計125キロを走る。平均すると相手よりも12キロ長く走っていることになるという。
マイボールになれば、4~5人の選手が一気に前線に駆け上がる。相手ボールになれば、ボールを持った選手に向かって次々とプレッシャーをかけにいく。ハードワークを90分続けると、相手チームとの間には大きな差がついているのだ。選手たちに走る意識を徹底して植え付けることが出来た理由を問われたクロップ監督は、シーズン前のキャンプにおけるスプリントトレーニングを振り返る。
「あのキャンプでは常々、選手たちに言って聞かせたんだ。『この苦しいときに、もう1キロ長く走れるかどうか。それが今季の出来を決めるんだ』ってね」
優れたモチベーターとして定評のあるクロップの言葉が、選手たちの体に染み込んでいる証拠だ。