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立浪和義から代わった“中日新監督”の本音評「中日は何がダメですか?」阪神・岡田彰布に質問攻めも…ロッテOBに聞く「どの監督が成功する?」
posted2025/04/05 11:03

今シーズンから中日を率いる井上一樹監督
text by

岡野誠Makoto Okano
photograph by
JIJI PRESS
◆◆◆
水上善雄は叱られて当たり前、褒められない昭和の環境で生きてきた。だから、自分のプレーにも厳しかった。1988年10月19日、近鉄がロッテに勝てば優勝の決まるダブルヘッダー2試合目。同点の9回2死二塁、新井宏昌の打球が三塁線を襲う。ライン際に詰めていた水上は横っ飛びして好捕。実況の安部憲幸アナが「This is プロ野球!」と叫ぶほどのファインプレーだった。それでも、一塁へのワンバウンド送球が気に入らなかった。
「内野は、少しくらい難しい打球でもアウトにして当たり前だと思っていたんです。それが仕事であり、普通にこなすから高い給料をもらっている。でも、ソフトバンクの一軍内野守備走塁コーチの時に、川島慶三の話を聞いてから考え方が変わったんです」
「選手って、褒めてもらいたいんです」
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ユーティリティプレーヤーとして重宝され、野手のまとめ役でもあったベテランに、こんな疑問をぶつけた。
水上:飛び込むほどじゃないにしても、ちょっといいプレーってあるじゃん。褒めた方がいいの?
慶三:水上さん、もちろんですよ。選手って、すごく褒めてもらいたいんですよ。
水上:あっ、そうなの?
「それ以降、普通の打球処理だと思っても、『おお内川(聖一)、ナイスプレー!』って手を叩きました(笑)。褒めると、みんな笑顔になる。やっぱり、今の若い子たちの気質を掴んで、自分の言葉や接し方を変えたほうがいいと思いました。そのためには、自分から話し掛けて、若い子たちの考え方を聞かないといけない。監督も同じかもしれません。ただ、分け隔てなく接する必要があります」
稲尾と落合“ベッタリ”に他選手の本音
水上はロッテ時代、こんな経験をしていた。西鉄のエースとして、巨人との日本シリーズで4連投4連勝をして「神様、仏様、稲尾様」と称えられた稲尾和久が監督の時だ。