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立浪和義から代わった“中日新監督”の本音評「中日は何がダメですか?」阪神・岡田彰布に質問攻めも…ロッテOBに聞く「どの監督が成功する?」
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岡野誠Makoto Okano
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/05 11:03

今シーズンから中日を率いる井上一樹監督
「『阪神から見て、中日ってどういう風に映ってました?』と聞いたそうですね。良い切り口だなと思いました。普通、『今のウチはこうなんですよ。どう思いますか』と話してしまう。でも、井上監督は主観的に語るのではなく、客観的な視点を求めていた。戦力的には難しいけど、上手く噛み合えば、ファンが納得できる戦い方をしてくれると思います」
日本ハム、ソフトバンクで二軍監督を務めた水上は、現代の指導者には「質問力」が必要だと考えている。
「選手が失敗したら、頭ごなしに叱るのではなく、性格や思考法を知るチャンスだと思った方がいい。たとえば、飛び出してダブルプレーになった時、『なんで打球を見なかったの?』と穏やかに聞いてみる。『左中間を抜けると思いました』という答えが返ってくれば、『いろんな可能性を頭に入れないといけないよね』と注意できるし、猪突猛進タイプだとわかる。そうすれば、大事な場面では代走を使った方がいいなとか、一塁コーチャーに指示を徹底させようとか、手を打てる。普段の会話が、いざ決断する時の裏付けになります。井上監督はそれができると思います」
名将か愚将か…決定的な違い
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中日の大島宇一郎オーナーは、井上監督の就任会見で「若手とのコミュニケーション、モチベーターとしての力は非常に高い方」と抜擢の理由を説明した。
「監督は本当に孤独です。評論家やファンはいろんな意見を述べるけど、最後に決めるのは自分。その判断が上手くいかなかったら、ボロクソに叩かれる。だから、決断する際、どれだけの根拠を持てるか。そのために、選手をよく把握する必要があります」
水上は「令和に求められる監督像」をこう考える。
「勉強を欠かさない人だと思います。コミュニケーションを取る際も、自分の考えを述べる前に、まず相手に聞く。そこにヒントが詰まっている。新しい考え方や理論を貪欲に知りたがる好奇心と柔軟な頭が必要なのかなと。それでいて、昔の練習法も無下にしない。工藤(公康)監督はまさに、そんな指揮官でした」
現状を嘆き、否定するのではなく、素直に受け止めながら対策や起用法を模索する。そんな指導者が覇権に近づけるのかもしれない。

