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藤浪晋太郎30歳に聞く「メジャー挑戦は正解だった?」アメリカで激変した“キャラ”、結婚願望まで「結婚はええぞ、って言う人はあまりいない(笑)」
text by

中村計Kei Nakamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2025/03/29 11:09

藤浪晋太郎30歳が明かした今
「いつかはしたいと思ってます。しているイメージはあったんですけどね。20代でしているイメージだった。ただ、無理にするもんでもないですし。結婚した人の話を聞くと、結婚した方がええぞっていう人は、あんまりいないんですよね。時間がないだの、自由がないだの言って。なので、結婚っていうものに憧れみたいのはないんです。独身のうちじゃないとできひんこともあるんで。それこそ20代前半で結婚してて、子どもなんかがいたら、アメリカに来られなかったと思いますし。来るとしても治安のいい場所にある球団じゃなきゃいけないとかいろいろ気を遣ったと思うんです。そういう意味では独身で正解だったと思います。まだまだやりたいこともたくさんありますし。でも、いつかこの人と添い遂げたいなっていう人が現れると信じています」
マイナー降格の報…藤浪の本望
これから先、藤浪をどんな野球人生が待っているのか。希望がないわけではないが、決して簡単なものではないはずだ。
「ここで成績を残し続けて、最後までやり切れるのがベストかなと思いますけど。30代後半から、40代ぐらいまで。それで最後の1年、阪神でプレーできたら、それはそれでいい形かもしれないですね」
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最後の1年は阪神でと言ったのは古巣への配慮なのか、それとも本心なのかまではわからなかった。
インタビューのほぼ1カ月後、アメリカにおけるメジャー開幕直前に藤浪のマイナー降格のニュースが舞い込んだ。
最終的にオープン戦は計8試合に登板し、7回と3分の2を投げた。防御率は5.87、四死球数は12個だった。マリナーズの層の厚い投手陣に食い込むには物足りなかったのだろう。しかし、報道を見聞きする限り、藤浪は日本に戻るつもりはさらさらないようだ。
藤浪は今、成功や失敗という尺度では測れない人生を歩いている。たとえどんな野球人生になろうとも、おそらく藤浪は自分の中で最後に口にする言葉を決めている。
藤浪はこれまで節目節目で登場曲を変えてきた。阪神入団後の4年間は高校時代から好きだったMr.Childrenの『パドル』。迷走が始まった2017年から2018年にかけては尾崎豊の名曲『僕が僕であるために』を桜井和寿(Mr.Children)が所属するグループがカバーしたもの。阪神の最後の4年間は、Mr.Childrenの曲の中でいちばん好きだという『終わりなき旅』。曲を知らなくてもタイトルだけで、そのときどきの藤浪の心情が透けて見える。
藤浪は感情を抑え気味に話す。
「変えたことに、そんな深い意図はないんですけどね。単にいい曲だなと思って変えてるだけで」
アメリカに来てから選んだ曲は、初めてMr.Childrenのものではなかった。ボン・ジョヴィの代表曲『IT’S MY LIFE』だった。
