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「試合前に骨折していた」武尊の“衝撃KO負け”にまさかの新事実「それでもロッタン勝利の価値は揺るがない」本人は言い訳せず「全てが自分の実力」
posted2025/03/26 17:02

1ラウンド1分20秒でロッタン・ジットムアンノンにKO負けを喫した武尊。試合後、同門の野杁正明が驚きの事実を明かした
text by

布施鋼治Koji Fuse
photograph by
ONE Championship Susumu Nagao
お膳立ては全て整っていた。
セミファイナルでは野杁正明がタワンチャイPKセンチャイをKOで撃破して、ONEフェザー級キックボクシング世界暫定王座を奪取。そのひとつ前には若松佑弥がアドリアーノ・モラエスをTKOで下しONEフライ級MMA世界王座を獲得していた。
戦前の予想では野杁も若松も不利を伝えられており、スポーツの勝敗を予想する海外のブックメーカーもタワンチャイやモラエスの勝利に低いオッズをつけていた。
爆発寸前の会場「武尊のKO勝利を期待する空気が…」
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大観衆で埋まった『ONE 172』(3月23日・さいたまスーパーアリーナ)。この大会を筆者はリングサイドで観戦していたが、野杁や若松が攻勢に出るたびに観客は総立ちとなり、耳をつんざくばかりの歓声を送っていた。そして最後は「マジかよ」と恍惚にも似たため息をもらした。
出場選手の顔触れを見ると、日本人選手を除けばタイからの出場が9名と最も多かった。それに比例してタイ人の観客も多かった。あるファンはロッタンと日本の人気漫画を掛け合わせたオリジナルTシャツを持参していた。
タイ人だけではない。試合の合間には踊り出す、ドレスアップしたYouTuberらしき国籍不明の女性もいた。まさにインターナショナル。日本の格闘技イベントとは思えないアバンギャルドな空気感を作り出しているところに、アジアを拠点に中近東やアメリカでも興行を打つONEの真骨頂を感じた。
残るはメインイベントで組まれたロッタン・ジットムアンノンと武尊のスーパーファイトのみ。日本vs.世界をテーマにマッチメークされた大トリで武尊が勝利を収めれば、どれだけの熱狂が生み出されるのか。このところ日本人ファイターはUFCやGLORYを筆頭に海外のビッグイベントで完敗を喫するケースが多いだけに、未曾有の大爆発が予想された。
両者は昨年1月、ONE有明アリーナ大会で対戦するはずだったが、ロッタンのケガにより試合は流れ、代わりに王者スーパーレックに武尊が挑戦するONEフライ級タイトルマッチが組まれた。
いくら武尊に対する期待値が高くても、海外のブックメーカーの目はシビアだ。案の定、戦前の予想ではスーパーレックが有利だったが、武尊は3ラウンドに王者をあわやダウンというところまで王者を追い込んだ。