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「試合前に骨折していた」武尊の“衝撃KO負け”にまさかの新事実「それでもロッタン勝利の価値は揺るがない」本人は言い訳せず「全てが自分の実力」 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byONE Championship Susumu Nagao

posted2025/03/26 17:02

「試合前に骨折していた」武尊の“衝撃KO負け”にまさかの新事実「それでもロッタン勝利の価値は揺るがない」本人は言い訳せず「全てが自分の実力」<Number Web> photograph by ONE Championship Susumu Nagao

1ラウンド1分20秒でロッタン・ジットムアンノンにKO負けを喫した武尊。試合後、同門の野杁正明が驚きの事実を明かした

 結果は判定負けに終わったが、ONEにおける武尊の株は急騰した。そんな前例があるだけに、国内では武尊のKO勝ちに期待する向きは多かった。スーパーレックに比べると、ロッタンは好んで打ち合いに応じるタイプだけになおさらだった。

 大会4日前の時点で賭け率は武尊が2.10倍、ロッタンが1.50倍とややロッタン優勢と出ていたが、会場は「若松と野杁が獲ったのだから次は……」という流れが完全に出来上がっていた。

残酷な結末「1分20秒で全てが終わった」

 しかし、勝負の世界は残酷だった。

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 開始1分15秒、ワンツーでロープ際まで武尊を追い詰めたロッタンは左フックをクリーンヒットさせ、早くもダウンを奪う。

 セコンドの方に目線を送りながら立ち上がろうとする武尊だったが、腰がフラついているのがわかった。ダウンカウントを進めるレフェリーが試合をストップさせた瞬間に立ち上がったが、時すでに遅し。1ラウンド1分20秒、全ては終わった。近くの席からは野杁戦や若松戦のときとは違った意味での「マジかよ……」というため息が聞こえてきた。

 試合後、リング上でのインタビューでロッタンは2年前に左の拳を負傷し、この日も万全ではなかったことを明かした。

「だから自信はなかった」

 その後、インタビュースペースに現れると、まるで他人事のようにロッタンは自身のKO劇に驚きの声をあげていた。

「2ラウンドまでは打ち合う試合を見せたいと思っていたので、1ラウンドでKOできるとは想像もしていなかった。自分のパンチ力に驚いている」

 巷では「なぜ、こんなに早く勝負が決まってしまったのか?」という声もあがっているが、筆者は疑問には思わない。我々の想像を遥かに超える結末が待ち受けているのが格闘技の醍醐味でもあるからだ。

 あえて解説をつけ加えるならば、攻撃力のあるふたりであるがゆえに起こりやすかった早期決着というべきか。

【次ページ】 「武尊は試合前に骨折していた」野杁正明の告白

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