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「朗希ならやりかねない。でも…」ロッテの守護神・益田直也が忘れられないあの登板…完全投球の裏で冷静に進めた準備「投げたくはなかったけど(笑)」
posted2025/03/27 11:03

通算250セーブは目前。新シーズンに挑むロッテ・益田
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梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
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JIJI PRESS
プロ14年目、747試合に登板している益田直也投手をして「投げづらかった」と言わしめたゲームがある。それは2022年4月17日、本拠地ZOZOマリンスタジアムにファイターズを迎えて行われたデーゲームだ。
完全試合から1週間
1週間前、大偉業が達成されていた。今季からドジャースに移籍した佐々木朗希投手が完全試合を記録。日本中の注目を集めるなかで1週間後のこの日、令和の怪物は再びマウンドに上がっていた。
「あの時期はもう、投げれば抑えるイメージ。ヒットを打たれる、打たれないということより毎イニング0で抑えて戻ってくる。本当に凄かった」と益田はプロ3年目だった佐々木朗希のピッチングを振り返る。
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ただ、いつも背番号「17」の姿は少しうす暗いブルペンの奥にあるモニター越しに見てきた。佐々木朗希が完全試合を達成した4月10日のバファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)も、益田はブルペンで一人、ボールを握っていた。万が一に備えて準備をする。それが守護神と言われる所以。スタンドのファンだけではなくチームメートやスタッフも浮足立ち、偉業達成に盛り上がりを見せる中で一人、冷静にブルペンキャッチャー相手に淡々とピッチング練習を繰り返していた。
「代わるだろう、という想定は…」
「完全試合なんてなかなか見られるものではないのでもちろん見たかったですけど、ブルペンで動いていました。6点差はありましたけど、100球以上、投げていましたし点を取られたら、代わるだろうという想定は考えないといけないので。そこは準備をしていた」
かわいい後輩の偉業達成を強く願いながらも、自身はあくまで冷静に登板の機会が訪れた時のために集中力を維持し続けた。それがこのポジションを任される男が背負う任務だった。だから、本当に喜んだのは試合後。ゲームセットの瞬間、ブルペンからベンチに駆けつけて祝福した。