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大谷翔平は「遠くて近い存在」地元で聞いた本音…全長43メートル“大谷の詳しすぎる年表”を手がけた図書館司書「同じ景色を見て育った嬉しさがある」 

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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photograph byNanae Suzuki

posted2025/03/19 17:31

大谷翔平は「遠くて近い存在」地元で聞いた本音…全長43メートル“大谷の詳しすぎる年表”を手がけた図書館司書「同じ景色を見て育った嬉しさがある」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

3月18日、東京ドームでの開幕戦で打席に立つ大谷翔平。地元・岩手県奥州市の人にとって、大谷はどんな存在なのか

「ちょっと長すぎるんじゃないか、ってよく言われるんですけど(笑)。いや、でも、本当に削るところがないんですよ。毎日のようにニュースになるし、記録を作るし……。活躍したときだけじゃなくて、たとえばエンゼルス時代に2度目のトミー・ジョン手術をする前とかも、苦しみながらこんなに頑張ってたんだよって知ってほしくて。私のなかでは、無駄なところはないんです」

「郷土史としての大谷翔平」を記録する使命

 郷土の英雄の一挙手一投足を決して見逃すまいとする渡辺さんの熱意は、奥州市で話を聞いた人たちの中でも際立っていた。だが、その行動原理は、利害を計算しながら大谷を追いかける理路とは明らかに異なる。

「公共図書館ですから、もちろん限られた予算のなかでやりくりしています。その予算内で大谷選手関連の図書を購入するときも、単に“いま流行っているから、人気だから”という理由ではありません。今後何年、何十年と経ったときのために、郷土が生んだ大人物の資料を収集・保存するのは図書館としての使命でもあるので」

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 司書としての日々の業務の合間に年表を更新するのは、決して楽な作業ではない。予算で賄えないときは、私費で参考資料を購入することもあるという。

「なんでこんなことを始めてしまったんだろう、と思うこともなくはないですね(笑)。でも、奥州市出身のスーパースターですから。私がやらなくても、誰かが同じようなことをやるんじゃないかと思います」

 怪我をしていても、不調のときでも、変わらずに大谷の応援を続ける。それが「大谷翔平選手ふるさと応援団」のテーマだと奥州市役所の鳥海友紀さんは語った。すでに与えられているのだから、見返りは求めない。この基本的な考え方は、奥州市の人々の間で、あえて言葉にするまでもなく共有されているのかもしれない。

【次ページ】 地元民にとって大谷は「遠くて近い存在」

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