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大谷翔平は「遠くて近い存在」地元で聞いた本音…全長43メートル“大谷の詳しすぎる年表”を手がけた図書館司書「同じ景色を見て育った嬉しさがある」

posted2025/03/19 17:31

 
大谷翔平は「遠くて近い存在」地元で聞いた本音…全長43メートル“大谷の詳しすぎる年表”を手がけた図書館司書「同じ景色を見て育った嬉しさがある」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

3月18日、東京ドームでの開幕戦で打席に立つ大谷翔平。地元・岩手県奥州市の人にとって、大谷はどんな存在なのか

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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Nanae Suzuki

 ワールドシリーズ制覇を果たしたドジャースの一員として日本に凱旋した大谷翔平。規格外のスーパースターの活躍を、地元の人々はどう受け止めているのか。大谷が生まれ育った岩手県奥州市を訪ねた。(全2回の2回目/前編へ)

地元の図書館司書が全力を尽くした“規格外の年表”

 長い。そして細かい。いや、「細かすぎる」と言っても差し支えないだろう。

 水沢駅から車でおよそ20分。奥州市立胆沢図書館に展示されていた「大谷翔平の年表」は、昨年11月の取材時点で総全長約43メートル。全体にざっと目を通すだけで、1時間以上はかかる大作だ。

 長大な年表の下には、大谷関連の図書がずらりと並ぶ。この展示を担当する同図書館の上席主任司書の渡辺貴子さんは、「話も文章も、なんでも長くなっちゃうタイプでして」と申し訳なさそうに微笑んだ。

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 渡辺さんが年表を作り始めたのは、大谷がベーブ・ルース以来104年ぶりの「二桁勝利・二桁本塁打」を達成した2022年のことだった。もともと野球にそれほど興味があったわけではなく、大谷とルースの歩みを比較する企画だったが、周囲に「来年もやるんでしょう?」と言われたことで情熱に火がついた。

「言われてみれば、せっかく奥州市の図書館なのに大谷選手についてあまり熱を入れられていないのはさみしいな、って。地元を熱くしないでどうするんだと勝手に思ったんです。大谷選手が怪我をしていたときに“今やれることを全力で”って言っていたんですけど、じゃあ図書館の全力ってなんだろうと。そこから必死に情報を集めるようになりました」

 目を見張るのは、2023年以降の記述の充実ぶりだ。少年時代や日本ハム時代の年表も十分に細かいのだが、WBCごろからドジャース1年目にかけては、大谷についてのあらゆる情報がこれでもかというほどの密度で書き込まれている。たとえば2023年2月なら、「2月19日、室内でリカバリー目的のトレーニング。2月20日、今キャンプ初の実戦形式で2打席に立つ。フリー打撃では22スイングで10本の柵越え。2月21日……」といったように。1日単位で大谷の動向が詳述されている時点で、一般的な年表とはかけ離れている。

【次ページ】 「郷土史としての大谷翔平」を記録する使命

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#大谷翔平
#ロサンゼルス・ドジャース

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