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「静岡から名古屋、広島でも大阪でもバス」昨季は“28勝84敗”ファーム球団、新監督が語る2年目の実情…ドラフト指名漏れウエスタン盗塁王も在籍 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2025/03/08 17:00

「静岡から名古屋、広島でも大阪でもバス」昨季は“28勝84敗”ファーム球団、新監督が語る2年目の実情…ドラフト指名漏れウエスタン盗塁王も在籍<Number Web> photograph by Kou Hiroo

くふうハヤテを率いる赤堀元之監督。静岡出身の名選手はファーム球団をどう構築しようとしているか

 この日の先発は26歳で背番号18の足立真彦。昨年まで独立リーグ信濃でクローザーを務めていたがダイナミックなフォームで2回無失点の好投を見せた。

 打線では、3番に座った増田将馬に期待がかかる。5歳上の兄は巨人の増田大輝。兄同様、独立リーグ徳島からNPB入りを目指したものの、指名されず。ドラフト前には「指名されなければあきらめる」と言っていたが、昨年、くふうハヤテに入団。昨年はウエスタン・リーグで打率.297、31盗塁で盗塁王も獲得。

 おそらく「NPBに一番近い選手」だが、昨年は調査書も来なかった。今季こそは——というところだ。

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 投手では3回に上がった野口渉が目を引いた。共栄大3年の時に右ひじを痛め、以後登板なし。昨年、くふうハヤテに入団し、中継ぎで24試合を投げた。腕の振りが速く、球に勢いがある。四球を2つ出したものの、1回を無失点で抑えた。

最初は選手も寄せ集め…不安はありました

 試合は3−1でくふうハヤテがオイシックス新潟に勝利。2年目を迎える両チームは現状、どんな手ごたえを感じているのだろうか。まずはくふうハヤテの赤堀元之監督に聞いた。

 現役時代、近鉄の絶対的なクローザーとして鳴らした赤堀監督は、引退後はオリックスのコーチを経て、独立リーグでも豊富な指導者歴を有しており、就任2年目である。

――昨年1年間、戦ってみてどうでしたか?

「ゼロからのチームだったので、最初は選手も寄せ集めでしたから、本当に1年間戦えるかなという不安はありました」

――独立リーグでもNPBでもない、ファームチームの在り方、目標をどのように定めようと思いましたか?

「このチームは、ファームの試合には出ることができるけど、選手は結局、セ・パに行きたい。あるいは戻りたいと思って試合をしているので、第一に育成再生っていうのが重要だったのかなと思います。それから、私は静岡の出身ですが、ファームリーグであっても静岡に初めてプロ野球チームができたことで、本当にチャンスをいただいたなと思っています」

最初は正直言ってレベルは低かったと思いますが

――選手は、NPBと比べてどうでしょうか?

「体つきもそうですが、技術面もまだまだ劣る部分はある、と僕は見ています。ただ日々練習をして試合をする中で、少しずつ良くなっている部分はありました。最初は、正直言ってレベルは低かったと思うんですけど、中盤になれば少しずつ他のチームに近付いていったと思います。その結果として、西濱がNPBに戻れたし、早川が育成でドラフトにかかったので、やってきた甲斐はあったなと思います。選手は試合を通して、自分たちで成長しないといけない。そうでないとセ・パには行けないので、そういうこともわかってきたのではないでしょうか」

【次ページ】 広島でも大阪でも名古屋でも、みんなバスです

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