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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「ヤバイ、ヤバイ…意識が飛ぶ寸前で」箱根駅伝“山の神”に惨敗したランナーが果たせなかった雪辱「大学3年の時に柏原竜二が入学してきて」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKYODO
posted2025/01/09 17:20
連覇へ意気込む東洋大の(左から)釜石慶太主将、工藤正也駅伝主将、エースの柏原竜二(2009年12月)©︎KYODO
大学を卒業後、釜石は公務員になり、2年間、山形県上山市役所に勤務したあと、2012年4月に仙台育英学園高校の女子駅伝部の監督に就任した。当初は部員が6名しかおらず、サッカー部の選手などをかき集めて予選会に出場していた。
その後、2017年の全国高校駅伝女子では23年ぶりに日本一に輝き、2019年、2021年にも優勝するなど、駅伝の強豪校に育て上げた。
その際、指導の手本になったのは東洋大学時代の恩師だった。
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「川嶋さんからは、五輪に出場されている人らしく、『凡事徹底』で1回1回の勝敗に一喜一憂せずに、淡々と物事に取り組むということを学びました。酒井さんは高校教員から監督になられたので、生活面、栄養面、メディカル面など本当に細かいところにこだわる姿勢というのを学ぶことができました。2人の指導をミックスして得られるのは、私たちの世代から柏原の世代までなので、すごく貴重なことだと思います」
チームの目標は、全国高校駅伝女子で優勝することだが、パリオリンピックでの経験が釜石にまた新たなモチベーションを与えてくれた。
「うちは、毎年その選手がどんな目標をもって、どういうふうに陸上をやりたいか、というところに沿ってやっています。駅伝では日本一を目指し、日本のトップになりたいという子たちが高みを目指して、憧れをもってきてくれています。そういう子どもたちにはしっかりと還元してあげたい。実は、パリオリンピックでOGの小海遥(第一生命グループ)が10000メートルに出場したので、現地に行ったんです。遠い存在だったオリンピックで小海が走る姿を見て、あらためて日の丸をつけた選手を増やしていきたいと思いました。少子化が進むなか、駅伝に特化する高校が増えてきているので、スカウティングを含め大変ですが、世界を意識して駅伝とうまく両立させてやっていきたいと思います」
パリオリンピックが釜石の新たなモチベーションを生み、指導者としてのやる気を駆り立ててくれたようだ。
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