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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「立浪監督は間違っていた」3年連続最下位の中日にズバリ…江本孟紀が語る“立浪和義の致命的ミス”…星野仙一も実践した「参謀は仲のいい人間ではダメ」
text by
江本孟紀Takenori Emoto
photograph byJIJI PRESS
posted2024/11/21 17:01
今シーズンをもって監督を退任した立浪和義
そうまでして川上さんが牧野さんに託したかったのは、メジャーのロサンゼルス・ドジャースで実践され、成功を収めた「ドジャース戦法」をチームに根ざすことだった。巨人がアメリカのフロリダ州ベロビーチで春季キャンプを行った1963年、巨人の首脳陣や全選手が帰国した後もアメリカに残り、ドジャース戦法の研究に明け暮れた。その結果、「守備練習こそが勝利への直通路である」と結論づけ、1965年から73年までの9連覇というかたちになって表れたのだ。
のちに川上さんが、「牧野がいなかったら巨人のV9は達成できていなかったであろう」と話していたことからも、牧野さんに対して絶大な信頼を寄せていたことがわかる。
立浪監督が選んだ参謀は?
翻って立浪監督である。彼は監督在任期間の3年間、落合英二、片岡篤史という同級生をヘッドコーチに据えた。私に言わせれば、これが間違いのもとだった。
星野さんや川上さんを見ていけばわかる話だが、友達や仲間を首脳陣に据えると、本音が言えなくなる。勝っているときはいいが、負けが込んできたとき、チームの命運を左右するような状況に陥ったときなどには、星野さんにおける島野さんのような、直言してくれる人でないとヘッドコーチは務まらない。この点に対する考え方が、立浪監督は間違っていた。
これが仕事だけのつながりの人間関係であれば、はっきりとしたもの言いができる。このケースの場合、2人をつなげているのは友情ではなく、「ビジネスパートナー」であることだ。
私の周りでもいたのだが、「仲がいいから」という理由で、友達同士で事業を起こし、数年後にトラブルになって会社は倒産、友人関係も解消されたというケースだ。この場合、会社の経営がうまくいっているうちはまだいい。問題は、うまくいかなくなったときである。