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日本シリーズ「数字以上に感じる力の差」DeNAに勝機はあるのか? 下克上日本一へ3つのポイント「ソフトバンク4番・山川穂高より怖い“5番”の存在」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/10/29 11:17
日本シリーズ第2戦で握手をかわすDeNA三浦大輔監督とソフトバンク小久保裕紀監督。ここまでソフトバンクが一度もリードを許すことなく2連勝しているが、果たしてDeNAに勝機はあるのか?
ソフトバンクは第1戦で崩れたクローザーのロベルト・オスナ投手が第2戦では見違えるような投球内容で復活。セットアッパーのダーウィンゾン・ヘルナンデス投手とのコンビは圧倒的で、試合終盤にそう簡単に点が取れないのが現実だ。となると、どう主導権を握ったままに終盤を迎えられるか。そのためにも一にも二にも先取点。そこが第3戦以降のDeNA打線にとって最大のテーマとなるはずである。
ポイント3:復帰戦となる第3戦先発の東
そして3つ目のポイントは第3戦の先発を務める東克樹投手の存在である。
東はクライマックスシリーズのファーストステージ初戦で、走塁の際に左太もも裏を肉離れ。ファイナルステージでは選手登録を外れて、このシリーズ第3戦が復帰戦になる。
ケガからの復帰戦で果たしてどれだけの状態で試合に臨めるのか。そこは実際にマウンドに上がってみないと分からないが、対ソフトバンク戦での実績はある。今年も6月8日の交流戦に先発、試合は負けたが7回7安打3失点と粘りのピッチングを披露。昨年の交流戦でも6安打3失点で、勝ち投手となっている。そういう意味ではソフトバンク打線を相手にメンタル面でも対等に渡り合える、数少ない先発投手の1人であるのも期待が膨らむところだ。
「足の状態はほぼほぼ回復しています。ピッチングに関しては万全の状態で臨めると思う」
こう語った東の今季27四球は規定投球回数到達投手でリーグ3位の少なさ。力でねじ伏せるのではなく、制球の良さと変化球のキレで勝負するタイプは、逆にパワーで圧倒してくるソフトバンク打線相手に生きそうなのも心強いところだ。
もちろん仕事は味方打線が点をとってくれるまで相手に先制点を与えないこと。そして山川をもう一度、しっかりと封じ込めて近藤の前で打線を分断できるかどうかである。
「そのためにここまで調整してきました。この舞台で投げられる状況を作ってもらえたので、恩返しというか感謝して投げたい」
負ければ王手をかけられる背水の第3戦。DeNAがこの3つのミッションをやり遂げられれば、逆転日本一への微かな光も見えてくることになるはずである。