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「データを見るのが好きなんですよね」DeNAを日本シリーズに導いたMVP捕手・戸柱恭孝が打倒ソフトバンクのカギを握る…CSで巨人を惑わせた配球
posted2024/10/25 17:46
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
SANKEI SHIMBUN
いよいよ日本シリーズが開幕する。
2位に13.5ゲームの大差をつけてパ・リーグを制覇、クライマックスシリーズ(CS)でもファイナルステージで日本ハムに3連勝と圧倒的な強さで勝ち上がってきたソフトバンク。そのソフトバンクに挑むのは、セ・リーグ3位から下剋上を目指すDeNAだ。
三浦監督が語る日本一への意気込み
CSファーストステージでは昨年の日本一チーム・阪神を投打で圧倒して連勝。ファイナルステージも勝負をかけた第6戦、土壇場の9回にキャプテン・牧秀悟内野手の決勝タイムリーで巨人を突き放して日本シリーズへの扉を開いた。
「CSから日本一を目指そうとギアを上げて戦いながら、選手みんなが成長した。投打を噛み合わせて(日本シリーズでも)1試合、1試合戦っていきたい」
チームを率いる三浦大輔監督はこう日本一への意気込みを語る。
確かにCSでは指揮官の言葉通り、チームの成長を感じさせる場面が多くあった。何より不安と言われた投手陣が、ファイナルステージ6試合でわずか9失点。3点以上の失点は第4戦の4点だけと好投を見せている。いくら「打てない巨人」が相手とはいえ、打高投低がカラーのDeNAにとっては、まさに大きな“成長”の足跡を残した勝利だったと言えるだろう。
そんな投手陣の奮闘の陰の功労者と言えるのがCSのMVPを受賞した戸柱恭孝捕手だった。
今季は攻守で成長を見せた山本祐大捕手の陰でベンチを温める試合が多く、戸柱が先発マスクを被ったのはわずか19試合。捕手陣の中では21試合の伊藤光捕手に次ぐ第3の捕手という位置づけだった。しかし9月15日の広島戦で山本が右手首に死球を受けて尺骨を骨折。阪神とのCSファーストステージ初戦で、今度は伊藤までも左ふくらはぎの肉離れで戦線離脱してしまった。この緊急事態に阪神との第2戦から主戦捕手となったのが、この34歳のベテランだったのである。
その試合で戸柱は走者一掃の逆転打を含む2本の二塁打で5打点とまずはバットで大暴れ。そしてファイナルステージでも21打数7安打の打率3割3分3厘と好調を維持すると共に、“本業”の捕手として存在感を示した。
巨人打線を戸惑わせた配球
「もともとデータを見るのが好きなんですよね」