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日本シリーズ「数字以上に感じる力の差」DeNAに勝機はあるのか? 下克上日本一へ3つのポイント「ソフトバンク4番・山川穂高より怖い“5番”の存在」 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2024/10/29 11:17

日本シリーズ「数字以上に感じる力の差」DeNAに勝機はあるのか? 下克上日本一へ3つのポイント「ソフトバンク4番・山川穂高より怖い“5番”の存在」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

日本シリーズ第2戦で握手をかわすDeNA三浦大輔監督とソフトバンク小久保裕紀監督。ここまでソフトバンクが一度もリードを許すことなく2連勝しているが、果たしてDeNAに勝機はあるのか?

 その上でDeNAにとって“山川封じ”の意味が、さらに大きくなるのが3戦目以降の敵地の戦いだ。そこでは、5番に指名打者で近藤健介外野手が入ってくるからである。一発のある山川は怖いが、確実性があって、長打もある近藤はそれ以上に怖い。おそらく現在の日本球界では1、2の実力打者の近藤こそ、ソフトバンク打線で最も抑えるのが困難な打者なのだ。

 DeNAバッテリーはCSファイナルステージでは、巨人の好機では主砲・岡本和真内野手との勝負を徹底的に避けた。そうして巨人の得点力を抑える戦略に徹したことが、勝利のカギだった。それに倣えば近藤とは勝負を避けて、歩かせてもいいくらいの対応をしなければならない。その戦略を徹底するためには、前を打つ山川とは勝負しなければならないし、だからこそ山川を“眠らせておく”ことが絶対的な条件となってくる。

 シリーズ初戦の山川との対戦内容はその命題の1つの答えだったはずだ。しかし第2戦では、1つの失投で逆に山川を調子に乗せる結果となってしまった。逆に言えば第1戦の配球と山川の反応で対策を練り直せば、4番封じの道も開けるかもしれない。近藤との勝負を絶対的に避けるためにも、山川を封じる。そうしてソフトバンク打線の得点力を下げていくことが、シリーズ3戦目以降の大きなポイントとなるはずである。

ポイント2:先制点

 そして2つ目のポイントは先制点だ。

 1、2戦の先制点はいずれもソフトバンクが挙げて、結果的にDeNAは一度も同点に追いつくことができないまま、後手後手のままに2試合を落としている。

 打線に関して言えばまず最初のポイントが、第1戦で自打球を当て左足首打撲で第2戦ではベンチ外となったタイラー・オースティン内野手の出場が可能かどうかで打線編成は大幅に変わる。

 第3戦では指名打者制度が使えるので、守備での動きがムリならDHで使える可能性もある。求められるのはポストシーズンでロサンゼルス・ドジャースのフレディー・フリーマン内野手が見せているような、故障でも何とかしながらチームのために働こうという意識かもしれない(もちろんオースティンにもそういう意識があると信じてのことだ)。

 そして先取点のためにまずは1番の桑原将志外野手のバットも不可欠だろう。

「ここにきてクワの良さが全面に出てくれていますし、1番としてチームを引っ張ってくれる、勇気づけてくれるというか、起爆剤になってくれていますね」

 三浦大輔監督がこう振り返ったように第2戦ではモイネロから5回にタイムリー二塁打、7回にも2死無走者から3点目のきっかけとなる左前安打を放つなどDeNA打線では好調を維持している1人。そこに2番の梶原昂希外野手から牧秀悟内野手、佐野恵太外野手、宮崎敏郎内野手という中軸打線をどう絡めるか。また第2戦ではオースティンの代わりに4番を務めて無安打に終わった筒香嘉智外野手も、ソフトバンクの先発が右のカーター・スチュワートjr投手ならば、対応が変わる可能性もある。一発のあるマイク・フォード内野手を使う選択肢もある。

【次ページ】 ポイント3:復帰戦となる第3戦先発の東

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