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“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「内田篤人のようだ」J1鹿島がホレた“超攻撃型SB”濃野公人22歳の原点「ケガ離脱も…“DFなのに9ゴール”は森保監督も無視できない?」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byAFLO
posted2024/10/18 11:30
J1鹿島で右サイドバックに定着したルーキー濃野公人(22歳)。先日、負傷離脱がリリースされたが、強烈なインパクトを残している
今季J1であげた9ゴールで特筆すべきは、すべて試合の流れの中から決めた得点だということにある。クロスボールに合わせて決める。クロスボールの折り返しを決める。ペナルティーエリアに侵入してスルーパスを受けて決める。味方のシュートのこぼれ球を押し込む。強烈なミドルシュートを決める。内訳は右足7、左足1、ヘッド1と、いずれも異なるシチュエーションからネットを揺らしているのだ。
「どのゴールも邪念が一切ありませんでした。『チャンスだ』と思った瞬間にゾーンに入って、歓声も聞こえなくなる。ボールが来て、トラップして、シュートまで何も考えていないんです。ゴールネットに吸い込まれた瞬間に『あ、入った』と思って、そこから歓声が聞こえてくる感覚です」
今年4月の京都サンガ戦で決めたプロ初ゴールで掴んだ感覚を、偶然で終わらせなかったのは濃野が“考える力”を積み重ねてきたからに他ならない。意図的にゾーンに入る術を自身に植え付けたことが、ゴール量産につながっている。
「これまで年代別日本代表すら一切引っかかってこなかったのですが、A代表は目指していました。ずっと憧れだった代表の青いユニフォームが今こうして明確な目標になって、だんだん近づいてきているという実感はあります」
“三笘の突破”も“堂安のカットイン”もできないけど…
一方で、自身の課題も明確に感じている。
「アジア最終予選の2試合(中国戦とバーレーン戦)を見ても、ウィングバックは生粋のサイドバックを置くのではなく、三笘薫選手、堂安律選手、伊東純也選手というアグレッシブな選手を起用しています。両ウィングバックが前に置かれた状態で、そこから引かない。仮にカウンターを受けても3バックと2ボランチで対応している。ボールを握り、ハーフコートに押し込んでサッカーをすることを前提にメンバーを決めて戦っているのが今の日本代表だと思います。今の僕は彼らみたいなドリブルは出来ないし、左利きではないのでカットインもない。だからこそ、『サイドバックなのに点が取れる』というスタイルではなく、より攻撃での個の打開力に特化したプレーをしないといけない。
サイドバックしかできない選手、守備か攻撃かのどちらかだけの選手も選ばれないと思っているので、守備面でも1対1の球際や空中戦の競り合いなど、局面での強度をもっと上げていかないといけないと感じています」