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「智之は1位レベルか?」「3、4位です」原監督に聞かれた巨人スカウトがキッパリ…高3時点で菅野智之より欲しかったのは「丸佳浩」だった
posted2025/04/10 11:00

千葉経済大付時代の丸佳浩。広島に入団したものの、巨人の元スカウトは高く評価していたという
text by

長谷川国利Kunitoshi Hasegawa
photograph by
AFLO

《2007年 3位か4位の評価だった高校時代の菅野智之》
5~6億円など契約金の高騰…希望枠の廃止
2007年は3月に西武の裏金事件が発覚しました。その関係で、ドラフトは高校生と大学生・社会人は分かれたままでしたが、『希望枠』という制度がなくなりました。
逆指名も希望枠も巨人が言い出して作ったものですが、それがなくなったから困るという話はこの時に球団内にはなかったと記憶しています。大きかったのはやはり契約金の高騰です。上限が1億円と言っても逆指名の選手は最低ラインがそれで、実際5億、6億みたいなことも平気でありました。昔は一軍で活躍しても数百万円しか年俸が上がらなかったのに、活躍する前から何億円ももらえるのはおかしいだろうという雰囲気は巨人に限らず、プロ野球全体でもあったと思います。
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こんなことを続けていけば当然球団経営にも響いてきますし、実際2004年には球界再編問題もありました。希望枠がなくなって、ホッとした人も多かったのではないでしょうか。
この年の高校生は仙台育英の佐藤由規(ヤクルト1巡目)、大阪桐蔭の中田翔(日本ハム1巡目/現・中日)、成田の唐川侑己(ロッテ1巡目)が評判でした。
佐藤は甲子園で155キロを投げていましたし、同じように甲子園で評価を上げた寺原よりもピッチャーらしいボールだと思っていました。ただ、ヤクルト入団後に故障が多かったように急にボールが速くなったという怖さのあるピッチャーでもありました。
好みは唐川、中田翔の素行面については…
個人的に好みのピッチャーだったのは唐川でした。
成田高のグラウンドで東海大相模の菅野智之と投げ合って共に二桁三振を奪った試合は強烈でした。この試合で菅野はほとんどスライダーを振らせて三振だったのに対して、唐川は決め球の大半がストレート。バッターがストレートを待っていてもバットに当たらない。フォームもいい、ピッチャーらしいピッチャーでした。ボールのイメージとしては横浜時代に逆指名で獲った川村丈夫が近いという印象です。ただ以前にも指摘した通り巨人はどうしても目に見えやすいスピードや、高校生なら甲子園、大学生なら東京六大学のような大舞台で活躍したスターを高く評価することが多かったですから、最終的にはそういう声が多くて、佐藤が1位になりました。
中田もピッチャーとして150キロ近いボールを投げ、打つ方でも飛ばすパワーに凄いものがありましたから巨人としても当然高く評価していました。