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「最後、信じて良かった」巨人4年ぶりのリーグ優勝に導いた阿部慎之助監督の選手起用…代打・坂本勇人と“神様のお告げ先発”オコエ瑠偉
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2024/09/29 17:01
巨人を率いて1年目でリーグ優勝を果たした阿部慎之助監督
「右打ちをしっかりできるようにしてこい」とテーマを示されてファームに送り出され、二軍でやってきた結果をしっかり見定めてグラウンドに立たせてくれる。阿部監督がオコエのバント技術を評価しているのもその一つだった。9月26日のDeNA戦で「2番」に抜擢した背景には、昨年2軍監督としてオコエを指導して、そのバント技術の高さを知る二岡智宏ヘッドコーチの推薦もあってのことだった。
「自分の中では楽天時代と全然、変わっていないんです」
オコエは言う。
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「バントとかも楽天時代に二軍で1球、ファウルを打ったら1時間、バント練習をしていた。でも『こうやってバント練習しても、(楽天では)これで上に上がれるわけじゃないんだよな』と思いながらやっていたんですけど、それがいまは生きているなぁと……楽天時代は周りからはとやかく言われましたけど、自分のやってきたことは決して間違いではなかった。それが今一番、生きているなと思っています」
4年ぶりリーグ制覇を支えた力
阿部監督を中心とした首脳陣がしっかりコミュニケーションをとって選手の力を掘り起こし、使える才能を呼び覚ました。
それがオコエの再生につながったが、それだけではない。
4年目の中山礼都内野手やルーキーの泉口友汰内野手、左キラーから左右関係なく中継ぎで投手陣を支えた高梨雄平投手やタフネスぶりを発揮した船迫大雅投手、地味な役回りだが劣勢の試合を中心に中継ぎでいい働きを見せている平内龍太投手……目立たないがシーズン終盤にこういうサブメンバー、選手がいたこと。阿部監督がしっかりコミュニケーションをとって、こういう選手をチームの力にできたこと。エースや4番や主力選手たちだけでなく、それも4年ぶりのリーグ制覇を支えた力だった。
「優勝争いをする中でこうやって使ってもらって結果を残せた。巨人に来て……良かったです」
祝宴のビールにまみれながらオコエはしみじみとこう語った。
その言葉が今年の巨人の強さだった。