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「最後、信じて良かった」巨人4年ぶりのリーグ優勝に導いた阿部慎之助監督の選手起用…代打・坂本勇人と“神様のお告げ先発”オコエ瑠偉 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2024/09/29 17:01

「最後、信じて良かった」巨人4年ぶりのリーグ優勝に導いた阿部慎之助監督の選手起用…代打・坂本勇人と“神様のお告げ先発”オコエ瑠偉<Number Web> photograph by JIJI PRESS

巨人を率いて1年目でリーグ優勝を果たした阿部慎之助監督

「練習では3億円プレーヤーみたいな打球を飛ばす」と阿部監督も評したように、確かにパワーはあるし、スピードもある。しかし技術的には打ちに行くときにインサイドにヒッチが入ることで、速い球に差し込まれる“欠点”を指摘する声も多く聞いた。だからファームでは打てるが、一軍のキレのある速い球には差し込まれ、それを意識すると今度は変化球に身体が前に出てしまう。それでも強い打球を求めて、強引に引っ張る打席傾向があった。その頑固さが楽天時代のオコエの「自己評価が高い」という首脳陣の“評価”へとつながっていったのかもしれない。

 そんなオコエに阿部監督がテーマを与えたのが、開幕前に二軍落ちを通告したときだった。

「右打ちが苦手だから、反対方向にゴロを打てない。それを練習した方がいい」

 その言葉を受けての意識改革がオコエを変えるきっかけになった。

「やっぱり打席への入り方とか、今までに比べてちゃんと整理して入れていると思いますし、それを(打席で)体現できるようになっていると思います」

 オコエは自分の変化をこう語り、背景には阿部監督の存在の大きさがあるという。

「とにかくコミュニケーション能力がすごいです。いつも的を得たことを言っていただけるので、自分は納得して参考にするというか……。この前の『力め!』っていうのも、裏返しの表現ですけど、力まないようにと思っても力んじゃうんだろうなと思う。それじゃあどうやって(打席に)入るのか、とか考えたりしました」

 この話はマジック4となった移動日の24日の阿部監督の発言のことだった。

「もう力めねえっていうくらい、身体が壊れるんじゃねえかっていうくらい、力んだ方がいいかもしれない。力むなって言うと力んじゃうから」

「自分の中では楽天時代と変わっていない」

 優勝への重圧で、日を追うごとに動きが固くなっていく選手たちに送ったメッセージをオコエはしっかり受け止め、試合に臨んだのだという。

【次ページ】 「自分の中では楽天時代と変わっていない」

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