「コーチの言うことをガン無視する」浅野翔吾の“大器” 「小林誠司は巨人の財産」デーブ大久保が“忖度なし”で語る阿部ジャイアンツの希望と課題

――浅野はどうですか？　昨年の秋季キャンプは腰痛で不参加で、春のキャンプも三軍スタートとなりました。潜在能力の高さから将来の主軸としての期待も大きいと思いますが。

大久保　あの子は伸びるか、伸びないかどっちかですね。

――ほう……。

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大久保　浅野はコーチの言うことを、ちゃんと聞かないんです。彼は監督には使う権利があるけど、我々にはない、ということをわかっています。僕はこの稼業を40年くらいやっているけど、浅野はおっかねえなあ、というのはありますよね（笑）。

森友哉になるために

――ある意味、賢いんですかね。それだけメンタルが強いという見方もできる。

大久保　いい言い方をすれば、彼は自分のものがあって、自分はこうだっていうのを持っている。だから例えば『インコースを差されるけど、こうやって打たないと打てないよ』と言っても、それは無視です。ガン無視です。『いや、自分はこうだと思っているんで』っていうのが多分、何かあるんですね。

「忖度なし」の分析を明かした大久保博元氏　©︎Haruka Sato

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――もともと持っているポテンシャルは高いですよね？

大久保　高いですね。彼はスピードもあるし、まずはバットを思い切って振れる。“マン振り”できるというのは才能です。一軍の試合でもタイミングの合った球は、100％以上の力で振れる。そこは凄いです。ただ、ボールを飛ばすには、長さと重さとインパクトスピードが必要ですけど、彼の場合はちょっと長さが足りない。ホームランバッターとしては、そこが一個足りない。森友哉（オリックス）にはなれるかもしれないけど、そのためには色々と教え込まないとダメですよね。

２年目の浅野翔吾。「器用ではない」ことも将来的には武器になる、と大久保氏は言う　©︎Naoya Sanuki

――打者としての課題はどんなところにあると考えますか？

大久保　まず浅野はそんなに器用ではないんですよ。打球を追って人工芝に足が突っかかって転ぶなんて選手を見たことありますか？　器用な子はやらないですよ。デビュー戦のどんな緊張した場面でもね。でもこれは、悪い意味で言っているんじゃなくて、例えばゴルフで子供の頃からアプローチとか天才的にうまい子がいますけど、そういうタイプは逆にイップスになった時に戻しようがないんです。でも不器用ならば、最初はできなくても途中から少しずつ色々なことを習得していくので、スランプになっても元に戻す方法が分かる。浅野の場合も、これからプロの選手として徹底的に作りこまないといけないけど、それは逆に彼のアドバンテージにもなるはずなんです。

大化けする可能性

――原前監督はスピードを評価していました。

大久保　でも、走塁も器用じゃないですよ。離塁の仕方にしてもスタートにしても、スライディングにしても……。そういう細かいことを、これからプロレベルで作り込んでいかなければならない選手なんです。

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