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ボクシングPRESSBACK NUMBER
キム・イェジュンの“挑発ジェスチャー”「勝つにはあれをするしかなかった」それでも直後にKO、井上尚弥の凄みを“怪物と最も拳を交えた男”が解説
posted2025/01/28 11:01
text by
森合正範Masanori Moriai
photograph by
Takuya Sugiyama
「怪物と最も拳を交えた男」の目に、“異例の一戦”はどう映ったのか。1月24日、井上尚弥がキム・イェジュンから4回KO勝利を収めた。井上のプロテストの相手役など長らくスパーリングで拳を交えてきたのが、元日本2階級制覇王者の黒田雅之だ。インタビュー後編では、挑発するようなジェスチャーも見せた対戦相手の戦略、それでも圧倒的だった井上の凄み、またモンスターの今後の構想について解説してもらった。《NumberWebインタビュー全2回/前編から続く》
◆◆◆
キムは「効いてない」という素振りを見せ、4ラウンド2分過ぎにはロープ際に追い詰められながらも「来いよ!」と井上を挑発する場面があった。
――あのシーンについてはどう感じましたか。
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「キム選手は自分を鼓舞する意味も大きいと思いますが、勝つにはあれをするしかなかった。前に出たらカウンターをもらうので、もう井上選手が来たところにカウンターを合わせるしかない。何回か左のオーバーハンドを打っていた。井上選手の入り際にあれを狙っていたと思います」
――あくまで勝つための行動だったと。
「ただ、チャンピオンはそれを察してなのか、丁寧な左から入ったり、いきなりの右をコンパクトに打っていたり。そうなると八方塞がりになる。でも勝ちたい、勝ちにいきたいという意識が、あの行動で感じられました」
――もし、キム選手が自分から攻めにいったらカウンターをもらっていましたか?
「もらっていたと思います。フィニッシュのきっかけになったのは、キム選手が打ちにいった左ストレートに対して、井上選手がバックステップをしての左フックでした。あれが遅かれ早かれ、決まっていたと思う。結局、あの攻防が決め手になった。あれはネリ戦で2ラウンドにダウンをとったパンチです」