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「最後、信じて良かった」巨人4年ぶりのリーグ優勝に導いた阿部慎之助監督の選手起用…代打・坂本勇人と“神様のお告げ先発”オコエ瑠偉
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2024/09/29 17:01
巨人を率いて1年目でリーグ優勝を果たした阿部慎之助監督
9月7日の東京ドームでの同じDeNA戦では、引き分け寸前の延長12回2死から起死回生の決勝本塁打。9月10日からの広島との“天王山”の第3戦では丸佳浩外野手に代わって「1番・センター」で先発起用されたが、いいところがなく「ダメですね、先発では」と指揮官から喝を入れられることもあった。
しかしその後は調子の落ちてきたココ・モンテス内野手に代わって先発起用されると、随所で好プレーを見せてきた。そしてこのDeNA戦は疲れの見える浅野に代えて、4試合振りの“神のお告げ先発”となった訳だ。
1回に先頭の丸が左翼線に二塁打を放つと、三塁線に絶妙な送りバントを決めて吉川の先制打をアシスト。さらに2回には自ら右前打を放つなど3安打。さらには守りでも1回裏に無死一塁から牧秀悟内野手の右中間への安打で、三塁を狙った梶原昂希外野手をノーバウンドのレーザービームで三塁に刺した。
「監督からは期待してないよって声をかけられたんですけど(笑)。逆にリキまないで頑張れました」
試合後にはこう語って笑顔を見せたオコエは、ラストスパートに入った9月に入ると、確実に“戦力”となり、優勝への貢献度も高い選手の1人となっている。
抜群の身体能力で関東一高時代から注目を集め、2015年のドラフト1巡目指名で楽天に入団。しかし楽天入団後はなかなか結果が出ないままに一、二軍を行ったり来たりする生活が続き、その一方で何かと野球以外のことで注目を集めることも多かった。
21年オフには左膝の手術を受け、22年はそのリハビリで出遅れ、一軍出場はプロ入り以来最少のわずか6試合に終わっている。
そして同年オフの現役ドラフトで巨人に移籍。今季は開幕1軍を逃したが、ファームの9試合で3割9分3厘の好成績を残して4月3日には最初の1軍登録をされている。
「練習では3億円プレイヤー」だが…
「自己評価が高すぎる」
伸び悩んできた楽天時代に首脳陣から聞いたオコエへの評価だった。自分の理想と現実がかけ離れすぎている。