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青木宣親42歳引退で村上宗隆が涙したのも納得…「通算打率.313」「ファンにサインを書き続け」“成績も人柄も21世紀最高”のアベレージヒッター 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/09/14 11:02

青木宣親42歳引退で村上宗隆が涙したのも納得…「通算打率.313」「ファンにサインを書き続け」“成績も人柄も21世紀最高”のアベレージヒッター<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

42歳での引退を決断した青木宣親。日米での野球人生はきっと、未来のスワローズにとっても大きな財産となる

 NPBの野手はMLBに移籍すると「小型化」するのが通例だった。NPBでは中軸を打った井口資仁、福留孝介、岩村明憲もMLBでは1、2番や6、7番に回ることが多く、打撃成績、特に長打が激減するのが常だった。

 もともとリードオフマンタイプの青木の場合、下位を打つ打者になるのか、そもそもイチローのようにMLBでも活躍できるのか? という見立てがあった。

 しかし青木は、打率こそやや低下したが、MLBでも俊足の安打製造機として活躍した。

 ブルワーズでプレーした2年間は3割こそ打てなかったが、.280台の打率をキープ。盗塁も2年間で計50、さらに出塁率も.350を上回り、リードオフマンとして十分な働きをした。

MLBで774安打はイチロー、松井、大谷に次ぐ日本人4位

 3年目にトレードでロイヤルズに移籍してからも青木は打率.285をマーク。安定感ある成績を残した。以後は、ジャイアンツ、マリナーズ、アストロズ、ブルージェイズ、メッツとチームを渡り歩く「ジャーニーマン」となるが、青木はすべてのチームで.270以上の安定した打率をマークした。

 青木はMLBという違ったステージに移籍するにあたり、プレー環境の変化、投打のレベルの違いを認識して、しっかりと準備をした印象がある。そしてどのチームでどんな役割を与えられても、それにまっすぐ取り組んだのではないだろうか。

 6年間のMLB通算記録は、以下の通り。

 2716打数774安打33本塁打98盗塁 打率.285 出塁率.350 OPS.737

 なお通算774安打は、イチロー(3089安打)松井秀喜(1253安打)大谷翔平(847安打)に続いて日本人メジャーリーガー史上4位だ。

36歳ヤクルト復帰で迎えた“第2の全盛期”

 2018年、ヤクルトに復帰した青木はすでに36歳になっていた。

 ヤクルトは代々、野手のチームリーダーが背番号「1」をつける伝統がある。

 1972年に若松勉が「1」をつけたのが始まりだが、92年には池山隆寛、01年には岩村明憲、そして10年には青木が「1」を継承した。青木がそれまでつけていた「23」は翌年、山田哲人がつけた。そして青木がMLBで活躍している間に山田哲人が「トリプルスリー」で売り出し、2016年には「1」になった。

 そこで、アメリカから復帰した青木はもとの「23」に戻ったのだ。

 この年の2月、青木は沖縄県浦添市のヤクルト春季キャンプで、はつらつとした動きを見せていた。

【次ページ】 “21世紀最高のアベレージヒッター”を示す通算打率

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