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高校野球ホームラン激減、“最少”7本のウラで…じつは違反バットが続出していた「密告合戦やめましょうよ」地方大会では「“無名メーカー”バットがブーム」

posted2024/09/13 11:45

 
高校野球ホームラン激減、“最少”7本のウラで…じつは違反バットが続出していた「密告合戦やめましょうよ」地方大会では「“無名メーカー”バットがブーム」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

金属バット導入後、“過去最少”ホームラン7本だった夏の甲子園。写真は神村学園・入来田華月。「隠れたベストセラー」マルチのバットでホームランを放った

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中村計

中村計Kei Nakamura

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この夏も野球専門店・ベースマン立川店の店長で、「2.0超えの野球用具視力を持つ男」と呼ばれる星徹弥さんに高校野球界トレンドチェックをしてもらった。
1974年の金属バット導入後、“過去最少”となる大会ホームラン7本に終わった夏の甲子園。じつは大会前、“違反バット”が続出していたという。【全2回の前編/後編も公開中】

“史上初”の大ニュース

――この春から新基準バットとなり、ホームランが激減しています。選抜大会は3本、この夏は7本でした。甲子園後、恒例となった星徹弥さんの「高校野球用具の最前線レポ」はホームランバットリストが名物のうちの一つだったのですが、その一覧表もすっかり大人しくなってしまいましたね。

星徹弥(以下、星) でも1つ、大きなニュースがありますよ。ミズノとSSKの2強時代が長らく続いていましたが、ついにゼットがシェア率ナンバー1を獲得しました。正確なデータはないのですが、ゼットがトップに立ったのは史上初なのではないでしょうか。ちなみに今大会の甲子園における上位バットのシェア率はゼットが33.6%、ミズノが32.9%、SSKは20.6%と続いています。僅差ですが、トップはトップですから。

――その結果を聞いて、私も思わず「おお!」となりました。ホームランバットを追い続けてきたわれわれからすると、かなりの衝撃ですよね。一般読者で同じ反応を示す人はほぼいないと思うのですが……。ホームランバットリストにも、そのシェア率がきちんと現れているんですよね。ゼット3本、ミズノ2本、マルチ1本、SSKの木製バット1本。

 甲子園だから、まだシェア率の差は僅差ですけど、地方大会へ行くと、もっとゼットが目立っていました。甲子園は各メーカーにとって広告の意味合いも強いので、どうしても「大人の事情」がからんできます。なので、この高校はここのメーカーのバットを使うみたいな傾向が出てきてしまうんです。その点、地方大会だとそういう縛りがないので、純粋に使いたいバットを使っています。だから、選手サイドのより正直な意見が反映されるんです。そうはいっても、甲子園でも花巻東はアシックスのイメージが強かったのですが、先発メンバー9人中6人がアシックス以外のバットを使っていました。関東一高もSSKを使っている選手が多かったのですが、9人中7人がSSK以外のバットでしたね。バットの基準が変わり、それくらい自分好みのバットを使いたいという選手が多かったということだと思います。関東一高の4番で、今大会の7号ホームランを打った高橋徹平君は小さい頃からうちのお店に来ているのですが、彼も「ゼットは芯を食ったとき飛ぶ気がします」と話していました。

じつは“違反バット”が続出していた

――それにしても選抜後、新規準バットの規定違反が相次いで報告され、夏の大会はどうなるんだろうと思ってしまいました。まずは4月にハイゴールド、イソノ、シュアプレイら5社のバットが新規定の厚さ4ミリ以上のルールに違反していたとの報道が出ました。あれは全部、回収しなければならないわけですよね?

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