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野ボール横丁BACK NUMBER
高校野球ホームラン激減、“最少”7本のウラで…じつは違反バットが続出していた「密告合戦やめましょうよ」地方大会では「“無名メーカー”バットがブーム」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byJIJI PRESS
posted2024/09/13 11:45
金属バット導入後、“過去最少”ホームラン7本だった夏の甲子園。写真は神村学園・入来田華月。「隠れたベストセラー」マルチのバットでホームランを放った
星 じつは「隠れたベストセラー」がマルチの金属バットなんです。マルチ&ヴィクタススポーツジャパンというところが作っているバットで、アメリカにおけるマルチ&ヴィクタスの木製バットのシェア率はダントツです。甲子園だと神村学園の選手が先発メンバーの9人中5人、使っていましたね。構造上、芯に当たらなかったときの飛距離がすごいんですよ。数字上でも、それはちゃんと出ているんです。金属材と形状のバランスがいいんでしょうね。ここのメーカーは甲子園出場校のことは、あんまり見ていないんだと思います。ただ、地方大会では、やはり目立ちました。地方大会の使用率の高さは品質の確かな証明でもあるんです。今後、マルチは火が付きそうな予感がありますね。
――そういう話を聞いていると、近い将来、また「金属バットは飛び過ぎる」となっていくのかなと思ってしまいますね。
星 各社とも少しでも飛ぶバットをつくろうと企業努力するでしょうからね。厚みの限界があるので、バットを研磨して回転がかけられるようにしたり、ヘッドキャップの形状を工夫してみたり、グリップエンドとのバランスを見直してみたり。とはいえ、少なくともこの基準だと昔のようにはならないと思います。ただ、マルチの物真似は始まると思います。
<続く>