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《前半戦総括》ライテクの差が出にくい“F1化するMotoGP”で光った、マルケスとアコスタの類まれなるライダー力 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2024/07/17 17:00

《前半戦総括》ライテクの差が出にくい“F1化するMotoGP”で光った、マルケスとアコスタの類まれなるライダー力<Number Web> photograph by Satoshi Endo

前半戦最後のレースとなったドイツGPで実弟アレックス(右・3位)とともに表彰台に上がり、喜ぶマルク・マルケス(左・2位)

 この数年のMotoGPクラスはドゥカティの速さと、それに追随するアプリリア、KTMの躍進の理由ばかりが語られてきたような印象だ。その一方、ホンダとヤマハの低迷の理由も取り沙汰され、良くも悪くもマシンのパフォーマンスが話題になることが多くなった。実際、ライダーのテクニック以前にマシンの性能がリザルトを支配する傾向が強くなり、MotoGPのF1化がどんどん進んでいる印象だ。

 3連覇を狙うバニャイアと、それを阻止すべく2年連続でタイトルを争うマルティン、ドゥカティのワークスマシンに乗る2人が9戦を終えて1点差の熾烈な戦いを繰り広げているが、MotoGPは思ったほどは盛り上がっていない。その理由は前述のようにマシンパフォーマンスの差がリザルトを支配することもあるが、現在タイトルを争う2人に、2021年に引退したバレンティーノ・ロッシや全盛期のマルケスほどの求心力、スター性がないからにほかならない。

レジェンドたちの求心力

 ロッシとマルケスに共通していたのは、グリッドが悪かったりレース中にポジションを落としても再び巻き返して優勝争いに加わり、観る者を興奮させたこと。マルケスは今年、ドゥカティのサテライトチームに移籍して、パフォーマンスの劣る1年落ちのマシンで熱い走りを見せている。9戦を終えてまだ優勝はないが、決勝レースでは表彰台獲得が4回。スプリントでは5回。予選では第4戦スペインGPで移籍後初のPPを獲得するなど、復調しつつある。

 マルケスが活躍すればレースが盛り上がる。マルケスの最後まで諦めない走りとバトルは、スタートしたら順位が変わらない「つまらないレース」に大きな変化を与え、MotoGPに興奮を呼び戻している。実際、久々に披露したスキルの高さとスター性は、来季のドゥカティワークス入りの要因となった。

 シーズン前半戦のMVPには「MotoGPを再び熱くさせた」という点でマルケスを挙げたい。彼が優勝争いに加わることでタイトル争いを繰り広げるバニャイアとマルティンの注目度も高まるはず。マルケスの今年のMotoGPへの貢献度はだれよりも高い気がする。

【次ページ】 進化なのか退化なのか

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