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《前半戦総括》ライテクの差が出にくい“F1化するMotoGP”で光った、マルケスとアコスタの類まれなるライダー力
posted2024/07/17 17:00
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
ロードレース世界選手権(MotoGP)は、7月上旬に開催された第9戦ドイツGPを終えて4週間の夏休みに入った。今年の前半戦は2連戦が2回だけ。予定されていたカザフスタンGPがキャンセルになったこともあり、割とゆったりしたスケジュールだった。しかし、8月から始まる後半の11戦には3連戦が2回もあり、ライダーにとっては速さだけでなく、集中力を切らさない体力勝負の戦いとなる。
MotoGPクラスの前半の戦いを、まずは数字で振り返ってみたい。
今年もドゥカティ勢が強く、9戦を終えて上位4位までを占める。昨季王者のフランチェスコ・バニャイア、初のタイトルを狙うホルヘ・マルティン、ホンダからドゥカティに移籍して完全復活に大きく前進したマルク・マルケス、昨年の怪我からやっと調子を上げてきたエネア・バスティアニーニという順で続く。
5番手にはアプリリアのマーベリック・ビニャーレス、6番手にはルーキーながら早くもKTMのエースに成長したペドロ・アコスタ。以下、ブラッド・ビンダー(KTM)、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(ドゥカティ)、今季を最後に引退を表明したアレイシ・エスパルガロ(アプリリア)、アレックス・マルケス(ドゥカティ)と、ここまでがトップ10となっている。
ドゥカティの独壇場
とにかくドゥカティの強さが圧倒的だ。決勝レースでは9戦9勝で表彰台独占が6回。決勝レースの半分の周回数で行われる土曜日のスプリントでは9戦6勝を挙げている。
その内訳を見れば、決勝レースでドゥカティが獲得した表彰台の数は9戦27回のうち「23」。その他はKTMが「3」(2位2回、3位1回)、アプリリアが「1」(1位1回)。スプリントではドゥカティが6勝を含む「15」。アプリリアが3勝を含む「7」、KTMが「5」となっている。マシンの総合的なパフォーマンスがリザルトに影響する決勝レースと違い、周回数の短い短期決戦のスプリントは予選グリッドとオープニングラップの位置取りが大きく影響することでアプリリアとKTMが数字を伸ばしたが、総合的にはやはりドゥカティの強さが際立つ。