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「DFだった父の全盛期と1対1勝負したら? もちろん僕が勝つ(笑)」FWテュラムにMFコンセイソン、GKシュマイケル…EURO親子鷹物語がアツい 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byANP/Getty Images

posted2024/07/05 17:54

「DFだった父の全盛期と1対1勝負したら? もちろん僕が勝つ(笑)」FWテュラムにMFコンセイソン、GKシュマイケル…EURO親子鷹物語がアツい<Number Web> photograph by ANP/Getty Images

フランス代表FWマルキュス・テュラム。父はフランスW杯優勝メンバーの、あの名DFだ

 知性、192センチの長身、優れた運動能力を武器とする現在26歳のストライカーは今大会、フランスの全4試合のうち3試合に先発。GS初戦のオーストリア戦後半には角度の厳しいボックス右からフリーでシュートを放つもGKに防がれ、GS2戦目のオランダ戦前半には最終ラインの裏に抜け出してゴールを狙うも枠外に外し、ラウンド16のベルギー戦前半にもクロスに頭を合わせながらボールは枠を逸れていった。

「全盛期の父と1対1したら?」「もちろん僕だよ」

 代表での得点数は父と同じ2だが、その重みはまったく異なる。

 マルキュスが今予選でそれらを記録した一方、リリアンはフランスがW杯を初制覇した1998年大会の準決勝でクロアチアに先制された後、同点、そして逆転の2ゴールをマーク──レ・ブルー(フランス代表の愛称)史上最高のSB兼CBのひとりは、代表142試合に出場しながら、その1試合でしかネットを揺らしていないが、伝説になった。リリアンはその2年後にEURO2000も制して、“ダブル”を達成している。

 マルキュスは5月に『CBS』の番組で「全盛期だった頃の父リリアンと1対1の勝負をしたらどっちが勝つ?」と訊かれ、「もちろん僕だよ」と陽気に返答した。その勝負の行方は想像するほかないが、リリアンがW杯を制した時も現在の息子と同じ26歳。今回、マルキュスが欧州の頂点に立てば、偉大な父に一歩近づくことになる。

コンセイソン親子は“2代連続EUROで値千金ゴール”

 ポルトガルのフランシスコ・コンセイソンと、父セルジオの間柄はより近いものだ。

 “シーコ”と呼ばれる現在21歳の息子はおよそ3年半前に、FCポルトで指揮を執る父のもとでシニアデビューを飾り、2022-23シーズンにはオランダのアヤックスへ5年契約で移籍したものの、今季にポルトへローンで帰還。再び父の指導を受けるようになると、キャリアハイとなる全公式戦8得点を記録し、シーズン終了後に代表1キャップながら今大会のメンバーに選出された。

 アヤックスでもポルトでも、チャンピオンズリーグのグループステージ最終戦の終盤に投入されて、すぐさまネットを揺らした決定力と強運の持ち主は、EURO2024の初戦のチェコ戦でもまったく同じことをした──しかも今回は投入から2分以内に値千金の決勝点を挙げたのだ。

 父セルジオもEURO2000のドイツ戦でハットトリックを記録しており、コンセイソン父子はキエーザ父子(エンリコ:EURO1996、フェデリコ:EURO2020)に次ぐ、欧州選手権でネットを揺らした2組目の父子となった。

【次ページ】 もうこれからは、ただの息子として父と話せるよ

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