球体とリズムBACK NUMBER
久保建英、三笘薫、遠藤航ら日本代表の戦友が計29人…EUROベスト4の面々を見ると「森保ジャパン普段の職場」のハイレベルさがクッキリ
posted2024/07/09 17:27
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Daisuke Nakashima
久保建英の同僚ミケル・メリーノ、南野拓実の仲間ユスフ・フォファナ、冨安健洋のチームメイトのブカヨ・サカ、三笘薫と共にプレーするバルト・フェルブルッヘン──。彼らは皆、EURO2024でそれぞれの代表チームの4強入りに大きく貢献した。あらためて、日本代表選手たちの普段の職場が、いかにハイレベルかがわかる。
ドイツを仕留めたメリーノと、オルモのお膳立て
レアル・ソシエダに所属するスペイン代表メリーノはドイツとの“事実上の決勝”で、延長後半終了間際に勝ち越し点をヘディングで決め、ヒーローになった。現在28歳の遅咲きのMFにとって、EURO2024が初めて参戦している主要大会だ。ここまでの5試合で先発は1度のみながら、全試合に出場しているメリーノは、もっとも大事な場面でメジャートーナメント初得点を記録した。
「ダニ(・オルモ)がボールを持った時、最高のクロスを上げてくれると信じて、(アントニオ・)ルディガーの後ろに駆け出した。文字通り完璧なボールが来たから、自分は跳んで頭を合わせるだけだったよ」
試合後に殊勲の大型MFはそう振り返った。実際、決勝点を奪ったメリーノも見事だが、それをアシストしたオルモこそ、この試合の主役だった。マン・オブ・ザ・マッチにも選ばれているように。
開始4分、ドイツの34歳のMFトニ・クロースがスペインの21歳のMFペドリを、激烈なチャージで負傷交代させた。序盤に相手のもっとも厄介な選手のひとりをガツンと潰しに行くのは、海千山千の常套手段だ。個人的には、2018年のCL決勝でレアル・マドリーのセルヒオ・ラモスが、リバプールのモハメド・サラーをレスリングの技のように倒して故障させたシーンを思い出した。キーウでのあの試合には、クロースも出場していた。
メリーノ以外にもソシエダ勢が存在感たっぷり
マドリーの重鎮に削られたペドリ──これで今大会を棒に振ることに──が無念の表情でピッチを退くと、その代わりに投入されたのがオルモだった。
スキルはもちろん、機動力とダイナミズムにも優れる背番号10は51分、ラミン・ヤマルの折り返しに右足を合わせて先制点を奪取。89分にフロリアン・ビルツに同点とされ、試合は土壇場で延長に突入したが、PK戦が目前に迫っていた120分に、オルモが前述のクロスでメリーノの決勝点をお膳立てしたのだった。