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「DFだった父の全盛期と1対1勝負したら? もちろん僕が勝つ(笑)」FWテュラムにMFコンセイソン、GKシュマイケル…EURO親子鷹物語がアツい
posted2024/07/05 17:54
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
ANP/Getty Images
大会を鮮やかに彩るレジェンドの息子たち──いよいよ8強に突入するEURO2024では、長くフットボールを観てきたファンには懐かしい苗字の選手たちが活躍している。
EUROで羽ばたいた“親子鷹”は数多い
イタリアのフェデリコ・キエーザ(父:エンリコ)、デンマークのキャスパー・シュマイケル(父:ピーター)、ルーマニアのヤニス・ハジ(父:ゲオルゲ)。
ポルトガルのフランシスコ・コンセイソン(父:セルジオ)、フランスのマルキュス・テュラム(父:リリアン)、オランダのデイリー・ブリント(父:ダニー)。
以上の6選手は、それぞれのチームと共にグループステージを突破した。
およそ順当に勝敗が決したラウンド16では──前回覇者イタリアは地元紙が「恥」と一面に見出しを打つほどの完敗をスイスに喫した──前者3人が姿を消したが、後者3選手には優勝の可能性が残されている。
日本時間6日早朝4時にキックオフを迎えるポルトガル対フランス戦には、そのうちふたりが出場しそうだ。より先発に名を連ねる可能性が高いのは、フランスのFWテュラムだろう。
父リリアンがイタリアのパルマでプレーしていた頃に当地で生まれながら、若年層の代表から一貫して父の祖国フランスを選択してきたマルキュスだが、A代表に定着したのは約1年半前のカタールW杯から。フランスが準優勝したこの大会では、アルゼンチンとの決勝を含む5試合に途中出場し、2アシストに終わっている。
人種差別に反対し、政治活動にも熱心な“戦う哲学者”と呼ばれたリリアンと異なり、笑顔を頻繁に見せる陽気な息子マルキュスは、「笑ってばかりでは成功を掴めないぞ」と父に諭され、より真剣にフットボールと向き合っていったという。
インテルで13ゴール、EUROではまだ無得点だが
2022年W杯の半年後にはボルシア・メンヘングラッドバッハから、イタリアの名門インテル・ミラノへ移籍。1年目の今季から前線のレギュラーとなり、リーグ戦で13得点を挙げてチームのスクデット獲得に貢献した。
聡明な父から譲り受けたものは数多い。